壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

海外文学

ずっとお城で暮らしてる シャーリイ・ジャクスン

ずっとお城で暮らしてる シャーリイ・ジャクスン 市田泉 訳 創元推理文庫 電子書籍 “あたしはメアリ・キャサリン・ブラックウッド。十八歳。姉さんのコンスタンスと暮らしている。” からはじまる一人称の語りは,美しくも悪意に満ちて歪んだ世界を描き出して…

人形 ダフネ・デュ・モーリア

人形 ダフネ・デュ・モーリア 務台夏子 訳 創元推理文庫 電子書籍 デュ・モーリアの初期短編14編。どれも短い話なので後の作品ほどの完成度はないが,その片鱗をうかがわせるものが多い。それぞれに,幻想,悲劇,喜劇,風刺,サスペンスなどの風味があって…

ザリガニの鳴くところ ディーリア・オーエンズ

ザリガニの鳴くところ ディーリア・オーエンズ 友廣純 訳 早川書房 電子書籍 圧倒的な自然の中で暮らす一人の少女カイヤの物語。評判の本をやっと読みました。長かったけれど面白かった! ノース・カロライナの東部に広がる湿地帯と潟湖,そしてその豊かな生…

私の名前はルーシー・バートン  エリザベス・ストラウト

私の名前はルーシー・バートン エリザベス・ストラウト 小川高義 訳 早川書房 電子書籍 普通の暮らしの中の断片的なエピソードを拾い上げるようにして,オリーヴ・キタリッジの長い人生を浮かび上がらせた『オリーヴ・キタリッジの生活』『オリーヴ・キタリ…

声 アーナルデュル・インドリダソン

声 アーナルデュル・インドリダソン 柳沢由実子訳 創元推理文庫 電子書籍 『湿地』『緑衣の女』に続く捜査官エーレンデュルの第三作(翻訳で)。前二作はアイスランドという見知らぬ国に対する興味に引っ張られたところがあった。人口三十五万の国とか家系図…

金の仔牛 佐藤亜紀

金の仔牛 佐藤亜紀 電子書籍 18世紀初頭のフランスで起きた金融バブル「ミシシッピ事件」を背景に,追剥,詐欺師,泥棒,胡散臭い貴族など怪しげな人々が繰り広げるマネーゲームだ。ミシシッピというほぼ実体のない会社の株券と,王立銀行が乱発する紙幣を売…

夏を殺す少女 アンドレアス・グルーバー

夏を殺す少女 アンドレアス・グルーバー 酒寄 進一 訳 創元推理文庫 電子書籍 オーストリアミステリだそうです。ほとんどの舞台はドイツ国内ですけどね。各地で起きた不審な事故死に見え隠れする少女を追うオーストリアの若い女弁護士エヴェリーンと,精神病…

戦争は女の顔をしていない スヴェトラーナ アレクシエーヴィチ

戦争は女の顔をしていない スヴェトラーナ アレクシエーヴィチ 三浦 みどり訳 岩波現代文庫 電子書籍 第二次大戦に従軍したロシアの女性たちの証言録。“証言文学”というそうだ。名もなき女性たちの生の声を紡いでいくことで,その時代を鮮明に描いている。50…

コリーニ事件  フェルディナント・フォン・シーラッハ

コリーニ事件 フェルディナント・フォン・シーラッハ 創元推理文庫 電子書籍 短編集を二冊読んで,やっとシーラッハの第三作『コリーニ事件』にたどり着いた。長さから言えば長編というより中編だが,中身がずっしりと重い大作だった。 新米弁護士のライネン…

罪悪  フェルディナント・フォン・シーラッハ

罪悪 フェルディナント・フォン・シーラッハ 酒寄進一訳 創元推理文庫 電子書籍 第一短編集『犯罪』に続く短編集。『犯罪』は罪を犯さざるを得なかった被告人たちの哀しみが描かれた感動作が多かったが,同じようなものを求めていた第二短編集への予想は見事…

夜来たる  アイザック・アシモフ

夜来たる アイザック・アシモフ グーテンベルク21 電子書籍 アシモフの初期短編集で3編の短い作品が入っていました。長編を読む気力の無い時には100頁ばかりの300円弱の本だと読み始める気になります。でも,読み終わってちょっと短すぎて物足りないという我…

愛の探偵たち アガサ・クリスティー

愛の探偵たち アガサ・クリスティー 宇佐川晶子訳 ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 電子書籍 最近の長いミステリ小説を持て余して,古めかしいミステリ短編を読み始めました。マープル,ポアロ,クィンたちの8つの短編集です。未読の短編のはずでしたが,クリ…

テムズ川の娘  ダイアン・セッターフィールド

テムズ川の娘 ダイアン・セッターフィールド 高橋尚子訳 小学館文庫 電子書籍 19世紀のイギリス,テムズ川で仮死状態で見つかった少女の身元をめぐる人々の物語。その少女は裕福な実業家の行方不明の娘なのか,複雑な出自の黒人農園主の孫なのか,牧師館の家…

夜の声  スティーヴン・ミルハウザー

夜の声 スティーヴン・ミルハウザー 柴田元幸 訳 白水社 図書館本 『ホーム・ラン』に続く短編集。8つの作品はどれも「ミルハウザー」としか言いようがない。図書館の返却期限が今日までなので急いで読んだことが残念。メモだけ取っておこう。 「ラプンツェ…

憂鬱な10か月  イアン・マキューアン

憂鬱な10か月 イアン・マキューアン 新潮クレストブックス 電子書籍 妊婦さんにはお勧めできません(笑)。胎児が饒舌に語り尽くす,母親と愛人による父親殺し。 扉のエピグラフにハムレットからの引用があるので,なるほどとは思う。母親の愛人が父親の弟,…

メイドの手帖 ステファニー・ランド

メイドの手帖 ステファニー・ランド 村井理子訳 双葉社 図書館本 シングルマザーとして貧困の中で幼い娘を育てたステファニー・ランドの手記。高等教育を受けられないままシングルマザーになり,28歳で母娘はホームレスシェルターで暮らした。そこから抜け出…

原野の館  ダフネ・デュ・モーリア

原野の館 ダフネ・デュ・モーリア 務台夏子訳 創元推理文庫 電子書籍 デュ・モーリアの初期の長編で今年,新訳版がでました。かつては『埋もれた青春』という題で邦訳され,ヒッチコックの『巌窟の野獣』として映画化された作品だそうです。 母を亡くして身…

火星の砂  アーサー・C・クラーク

火星の砂 アーサー・C・クラーク 平井イサク訳 早川書房 電子書籍 『火星○○』三冊目です。火星から戻ってこられません。昨今は火星探査で米中が競争していて,どこの国が一番早く火星の岩石サンプルを持ちかえるのでしょうか。かつてはSFでのみ到達可能であ…

火星人ゴーホーム  フレドリック・ブラウン

火星人ゴーホーム フレドリック・ブラウン 稲葉 明雄訳 グーテンベルク21 電子書籍 火星のプリンセスを読んだついでに,もう一つ火星物。70年前に書かれたドタバタブラックコメディ風のSFですから古めかしい所はあるのですが,現代的な解釈をするとコロナで…

火星のプリンセス  エドガー・ライス・バローズ

火星のプリンセス エドガー・ライス・バローズ 厚木淳 訳 創元SF文庫 電子書籍 100年以上も前に書かれたスペース・オペラの原点といわれるSF小説です。初版が1917年ですが,日本で翻訳出版されたのは1965年でした。その時中学生だった私はこのシリーズの文庫…

ベイカー街の女たち ミセス・ハドスンとメアリー・ワトスンの事件簿1  ミシェル・バークビイ

ベイカー街の女たち ミセス・ハドスンとメアリー・ワトスンの事件簿1 ミシェル・バークビイ 駒月雅子 訳 角川文庫 電子書籍 世の中にシャーロック・ホームズのパスティーシュはたくさんあります。小説に限らず,映画やドラマも数多く見ました。その中でも本…

犯罪  フェルディナント・フォン・シーラッハ

犯罪 フェルディナント・フォン・シーラッハ 酒寄進一訳 創元推理文庫 電子書籍 現役の刑事弁護士が書いたミステリとして話題になったときに読み逃していた以来。物語の語りと筋運びが独特で,事実を淡々と報告しているように見えるが,罪を犯した,いや犯さ…