壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

ベイカー街の女たちと幽霊少年団  ミシェル・バークビイ

イカー街の女たちと幽霊少年団 ミセス・ハドスンとメアリー・ワトスンの事件簿2 ミシェル・バークビイ  駒月 雅子訳 角川文庫 Kindle Unlimited

シャーロック・ホームズの公式パスティーシュとして、ミセス・ハドスンが語る『ベイカー街の女たち』の二作目です。

ホームズとワトスンがダートムーアの事件(『バスカヴィル家の犬』)から帰ってきた頃、ミセス・ハドスンは突然の病気で入院しました。腹部手術後の朦朧とした意識の中で、同じ病室の患者が黒い影に襲われたのを見たように思いました。翌朝、その女性患者が亡くなっていたのです。黒い影も、連続して同じベッドで患者が亡くなったことも、鎮痛のモルヒネの副作用の悪夢なのでしょうか。見舞いに来たメアリー・ワトスンから聞いた、少年たちの行方不明事件―幽霊少年団―の謎は、病床での無聊を慰める格好の材料だと考えていたミセス・ハドスンですが、給仕のビリーやイレギュラーズの少年たちと共に、次第に思わぬ事件に巻き込まれていきます。

物語は幻想的なオカルト風味から始まります。これは『バスカヴィル家の犬』を踏襲しているような雰囲気でしたが、結局前回と同じ冒険活劇。ミセス・ハドスンとメアリーは前回、かなり危ない目に会っています。今回はおとなしく、病院のベッドでのアームチェア・ディテクティブかと安心していたら、とんでもない。ワトスン博士に掛け合って早めに退院して、探偵活動を開始します。ミセス・ハドソン、走り過ぎて、お腹の手術後の傷から出血!!! 

ホームズの有名な謎「ターナー夫人問題」「切り裂きジャック問題」のネタも仕込んであって、シャーロッキアンでもない私も楽しめました。ホームズのパスティーシュは数限りなくあります。あれも、これも、読んでみたい!!!

19世紀英国の、ダートムーアの底なし沼にハマりそうになっています。いったん抜け出して、別の沼にハマりに行きましょうか(笑)。