壊れかけたメモリーの外部記憶

読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

希望荘 宮部みゆき

希望荘 宮部みゆき 小学館 次作『昨日がなければ明日もない』を読むのに記憶を呼び戻すため,杉村三郎シリーズの4作目を再読しました。読書記録をつけていない時期だったので,事件の内容はすっかり忘れていました。 『誰か』『名もなき毒』『ペテロの葬列』…

鏡影劇場 逢坂剛

鏡影劇場 逢坂剛 新潮社 図書館本 ホフマンに関する古文書ミステリーである700頁弱二段組みのこの本は,凝りに凝った構成を持っています。本書全体は,出版と編集を任せると逢坂剛に送られてきた謎のフロッピーに入っていた文書の著者は本間鋭太,編者が逢坂…

砂男/クレスペル顧問官 ホフマン

砂男/クレスペル顧問官 ホフマン 光文社古典新訳文庫 電子書籍 19世紀の初めに書かれたホフマンの幻想小説を読もうと思ったのは,図書館で見かけて借りてきた逢坂剛の『鏡影劇場』がきっかけでした。二段組み700ページ近いこの小説は19世紀の作家E.T.A.ホフ…

新・御宿かわせみ5 千春の婚礼 平岩弓枝

新・御宿かわせみ5 千春の婚礼 平岩弓枝 文春文庫 電子書籍 かわせみを続けて読みます。“日本人の精神安定剤”をもう一服です。と思ったんですが,話の筋立てがよくわからない所があり,伏線回収されず,麻太郎が東吾に似ているという話ばかりが繰り返されて…

新・御宿かわせみ4 蘭陵王の恋 平岩弓枝

新・御宿かわせみ4 蘭陵王の恋 平岩弓枝 文春文庫 電子書籍 明治の代になってから4作目です。旧シリーズの一巻からずっと文庫本がでるたびに購入していたのですが,もう手元に一冊も残してありません(終活です)。この巻から電子書籍に切り替えました。5作…

西日の町  湯本香樹実

西日の町 湯本香樹実 文春文庫 電子書籍 少年や少女と老人との交流,生と死のモチーフは『夏の庭』『ポプラの秋』の主題でしたが,今度も10歳の少年の日を回想する僕が体験する祖父の生と死の物語です。 九州の町で西日の当たる小さなアパートで母と暮らす僕…

次なるパンデミックを回避せよ 井田徹治

次なるパンデミックを回避せよ 環境破壊と新興感染症 井田徹治 岩波科学ライブラリー 図書館本 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が動物由来感染症(人獣共通感染症)であることはもちろんだが,今までには流行しなかった新興感染症がエピデミックやパン…

オリクスとクレイク マーガレット・アトウッド

オリクスとクレイク マーガレット・アトウッド 早川書房 図書館本 アトウッドのディストピア『マッドアダム三部作』の一作目です。アトウッドの『侍女の物語』『誓願』を読んで,勢いがつきました。 人類の生き残りであるスノーマンことジミーは,友人であっ…

青葱 野々上いり子

青葱 野々上いり子 徳間書店 電子書籍 第4回大藪春彦新人賞受賞作ということでKindleで無料になっていたので,就寝前読書としてすぐ読みました。 母から、祖母が徘徊でいなくなってしまったという連絡を受け、ひかりは約半年ぶりに実家に帰ってきた。 仏間…

迷路の始まり ラストライン3 堂場瞬一

迷路の始まり ラストライン3 堂場瞬一 文春文庫 電子書籍 ラストライン3作目です。 岩倉の所属する南太田署管内で起きた殺人事件は,最初通り魔ではないかと思われたが,目黒区で起きた全く別の殺人とつながりがあることを岩倉が探り出した。色めき立つ特捜…

割れた誇り ラストライン2 堂場瞬一

割れた誇り ラストライン2 堂場瞬一 文春文庫 電子書籍 シリーズ2作目です。 「事件を呼ぶ刑事」岩倉剛は,定年まであと9年になった。かつて相棒だった新人の伊東彩香は機動捜査隊に移動になり,次の相棒・川嶋は岩倉を執拗にマークしているようだ。隣の北太…

ラストライン 堂場瞬一

ラストライン 堂場瞬一 文春文庫 電子書籍 定年まであと10年のベテラン刑事・岩倉剛が本部から所轄に移ってきた。新人の女性刑事・伊東彩香を相棒にして,鋭い人間観察と驚くべき記憶力を駆使して,一人暮らしの老人が殺害された事件と若い新聞記者の自殺と…

一度きりの大泉の話 萩尾望都 / 少年の名はジルベール 竹宮恵子

一度きりの大泉の話 萩尾望都 河出書房新社 電子書籍 少年の名はジルベール 竹宮恵子 小学館文庫 電子書籍 というネットの記事を読んで,この二冊の本を読みました。少女マンガは萩尾望都のSF作品を少し読んだ事があって,ちょっとだけファンです。竹宮恵子…

猫は知っていた 二木悦子

猫は知っていた 二木悦子 講談社文庫 電子書籍 二木悦子のミステリーデビュー作で,1957年の第3回江戸川乱歩賞受賞作ということですから,なんと64年前の作品です。映画やテレビにもなったようで,社会状況や生活環境の違いを差し引いても,コージーミステリ…

ロボット・イン・ザ・スクール  デボラ インストール

ロボット・イン・ザ・スクール デボラ インストール 松原葉子訳 小学館文庫 タングの三作目です。ベンとエミリーの四歳の娘ボニーがプレスクールに通い始めました。当然タングも「僕も学校に行きたい!」。ロボットが学校に通うなんて許可が下りず,通学でき…

赤い猫 二木悦子

赤い猫 二木悦子 講談社文庫 電子書籍 二木悦子の後期の短編が6編。前半3編がアームチェアディテクティブ,中3編が二木兄弟シリーズで昭和50年代に書かれたもの。昭和の香りのコージーミステリと言ったらいいのでしょうか,殺人事件を扱いながらも話の展開は…

グレゴワールと老書店主 マルク・ロジェ

グレゴワールと老書店主 マルク・ロジェ 東京創元社 海外文学セレクション 図書館本 18歳のグレゴワールは老人ホームで働き始めた。元書店主のムッシュー・ピキエは,ホームの自室に3000冊の本を持っているが,体も目も不自由になってグレゴワールに朗読を頼…

主よ、永遠の休息を 誉田 哲也

主よ、永遠の休息を 誉田 哲也 実業之日本社文庫 電子書籍 就寝前の読書としては選択ミスでした。悲惨で痛ましい事件を扱っているのにページタナーで,読み終えてもどこにも救いがありません。こんなひどい話を読んでいるのに読むのをやめられない自分が嫌い…

猫の傀儡 西條奈加

猫の傀儡 西條奈加 光文社文庫 電子書籍 猫が主人公の痛快時代ミステリーです。猫が人間を操って事件を解決する,これって江戸時代の三毛猫ホームズ? 三毛猫ホームズを読んだ事もなく猫を飼ったこともないのだけれど,とても楽しめました。猫の鳴き声は人間…

誓願 マーガレット・アトウッド

誓願 マーガレット・アトウッド 鴻巣友季子訳 早川書房 図書館本 『侍女の物語』の15年後の物語。オブフレッドの一人語りだった『侍女の物語』は読めば読むほど鬱々として胸塞がる思いだったが,この物語は読めば読むほどに引き込まれるエンタメ性の強い話だ…

侍女の物語 マーガレット・アトウッド

侍女の物語 マーガレット・アトウッド ハヤカワepi文庫 電子書籍 『侍女の物語』はディストピア小説として1985年に書かれたものだ。ユートピアはいつも,私たち現在の世界から遠く離れた所にあるのに,ディストピアはいつも,現在と地続きの所にあるのだ。 …

オリーヴ・キタリッジ、ふたたび  エリザベス・ストラウト

オリーヴ・キタリッジ、ふたたび エリザベス・ストラウト 小川高義/訳 早川書房 図書館本 ✉ おかえりなさい, オリーヴ。 『オリーヴ・キタリッジの生活』からもう十年。その間も,あなた様は元気でお暮しのようですね。HBOのドラマも拝見いたしました。ジ…

謎のクィン氏 アガサ・クリスティー

謎のクィン氏 アガサ・クリスティー 早川書房 電子書籍 どこからともなく現われては,love affairを解決して,また姿を消すハーリ・クィン。解決というより,登場人物たちが不幸な結末にならないよう,救済の方向を示唆します。ミステリーというよりは,大人…

新型コロナからいのちを守れ!  理論疫学者・西浦博の挑戦

新型コロナからいのちを守れ! 理論疫学者・西浦博の挑戦 西浦 博/著 川端 裕人/聞き手 中央公論新社 図書館本 西浦さんが語る,ダイアモンド・プリンセスから,国内の第1波(今から考えると小さな波でしたが)と4月~5月の緊急事態宣言(いわゆる8割削減)…

ウナギが故郷に帰るとき パトリック・スヴェンソン

ウナギが故郷に帰るとき パトリック・スヴェンソン 新潮社 図書館本 ウナギの生命誌・研究史・文化史を興味深いエピソードとともに綴る冷静なノンフィクションの章と,著者と父親のウナギ釣りという個人的な思い出を詩的に語る章とで交互に構成された本は,…

結局、ウナギは食べていいのか問題  海部健三

結局、ウナギは食べていいのか問題 海部健三 岩波科学ライブラリー 図書館本 私としては絶滅危惧種は食べないと決めています。食べないのは主に経済的理由ですが,環境意識で理論武装したい(笑)。うなぎの蒲焼は好きですが,生き物としてのウナギはもっと…

百年先~地方博物館の挑戦

百年先~地方博物館の挑戦 ふじのくに地球環境史ミュージアム編 静岡新聞社 図書館本 我が家から坂を上って20分ほど歩いた先,日本平・有度山の南西斜面に,廃校となった県立高校を再利用した小さなミュージアムがあります。6年前にできた「ふじのくに地球環…

ウッドストック行最終バス  コリン・デクスター

ウッドストック行最終バス コリン・デクスター ハヤカワ・ミステリ文庫 電子書籍 バス停で待つ二人の娘は,なかなか来ないウッドストック行バスをあきらめヒッチハイクをし,そのうちの一人が殺された。もう一人の娘は誰なのか,赤い車に乗せた男は誰なのか…

ロボット・イン・ザ・ハウス  デボラ・インストール

ロボット・ザ・ハウス デボラ・インストール 小学館文庫 タングの二作目です。ベンとエイミーの娘ボニーが9カ月,タングはすこしお兄ちゃんになりましたが,AIとしてというよりも,人間の男の子として頑固でちょっと生意気で可愛く成長しています。ある日,…

いま見てはいけない ダフネ・デュ・モーリア

いま見てはいけない ダフネ・デュ・モーリア 創元推理文庫 電子書籍 最近,デュ・モーリアの新訳「原野の館」がでるようで,思い出して五年前に読んだ短編集「いま見てはいけない」を再読しました。内容をかなり忘れていて,もう一度楽しみました。 デュ・モ…