壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

およね平吉時穴道行  半村良

およね平吉時穴道行 半村良 角川文庫 電子書籍 半村良の『産霊山秘録』を再読するつもりだったが,伝奇長編小説に向かう体力がなくてこの短編集にしてみた。半村良の初期短編集だそうだ。表題作の「およね平吉時穴道行」は,たぶん,50年くらい前の当時の「S…

真夜中のパーティー  フィリパ・ピアス

真夜中のパーティー フィリパ・ピアス 岩波少年文庫 電子書籍 『トムは真夜中の庭で』がファンタジーだったので,ごく日常の子供たちの小さな出来事ばかりの短編が意外でした。でもこの歳になっても子供の時の気持ちに少しだけ戻ることができるのに,我なが…

七十歳死亡法案、可決  垣谷美雨 / 銀齢の果て 筒井康隆

七十歳死亡法案、可決 垣谷美雨 幻冬舎文庫 電子書籍 銀齢の果て 筒井康隆 新潮文庫 電子書籍 古希の記念に,70歳にまつわる小説を2冊読みました。 七十歳死亡法案、可決 「七十歳死亡法」という点がインパクト大なのかと思ったら,70歳で死ぬという前提が無…

ホーム・ラン  スティーヴン・ミルハウザー

ホーム・ラン スティーヴン・ミルハウザー 柴田 元幸訳 白水社 図書館本 もう十年以上も前にミルハウザーの初期の作品『ナイフ投げ師』『バーナム博物館』を読んだ時の驚きを,いまだに覚えています。濃厚で過剰なミスハウザーの世界は最新作の短編集でも変…

変な家  雨穴

変な家 雨穴 飛鳥新社 電子書籍 高齢者でも動画をよく見る。引っ越しの予定はないが,面白い間取りの家の内覧をする「○○不動産」なんていう動画を見る。ミステリでもホラーでも家や間取りの謎は魅力的だ。この動画がおもしろいと教えてもらい,さらに本を買…

ホテル  エリザベス・ボウエン

ホテル エリザベス・ボウエン 太田良子訳 国書刊行会 図書館本 ボウエンの短編集『あの薔薇を見てよ』,『幸せな秋の野原』は手ごわかったけれど。非常に魅力的だった。わかりにくさは訳文のせいもあるけれど,それ以上にあいまいな描写や結末に戸惑った。で…

鋼鉄都市  アイザック・アシモフ

鋼鉄都市 アイザック・アシモフ ハヤカワ文庫 電子書籍 50年以上前にアシモフはたくさん読んだ記憶があるのですが,科学解説書だけで小説は読まなかったのかもしれません。続編の新訳版『はだかの太陽』を貰ってあるので,まずは『鋼鉄都市』から。1954年に…

羊は安らかに草を食み  宇佐美まこと

羊は安らかに草を食み 宇佐美まこと 祥伝社 図書館本 二十年来の友人だった益恵が認知症になり、俳句仲間の八十歳のアイと七十七歳の富士子は三人で最後の旅に出た。いつも穏やかで元気だった益恵が認知症になって時々見せる心の重荷を感じて,夫の三紀夫は…

与楽の飯 東大寺造仏所炊屋私記  澤田瞳子

与楽の飯 東大寺造仏所炊屋私記 澤田瞳子 光文社文庫 電子書籍 夏のKindleキャンペーンにつられて買った本です。 東大寺毘盧舎那仏鋳造の労役の為,平城京に召集された近江国の二十一歳の真壁の視線で,造仏所の労働とその人間模様が細かに描かれています。…

二年半待て  新津きよみ

二年半待て 新津きよみ 徳間文庫 電子書籍 セカンドライフがなかなか良くて,就寝前読書にもう一冊読んでみました。就活・婚活・恋活・妊活・保活・離活・終活をテーマにした7つの短編です。女たちの日常の話で読みやすく,最後に仕掛けがあります。一気に読…

ヨーロッパ退屈日記 / 女たちよ!  伊丹十三

ヨーロッパ退屈日記 伊丹十三 新潮文庫 女たちよ! 伊丹十三 新潮文庫 文庫本のあとがきで,関川夏央氏はこう書いています。 “『ヨーロッパ退屈日記』は,1965年の高校生にとって一大衝撃だった。” まさにこの言葉に尽きるのです。そのころに高校の級友に貸…

ふしぎ駄菓子屋 銭天堂  廣嶋玲子

ふしぎ駄菓子屋 銭天堂 廣嶋玲子 偕成社 電子書籍 小学生に人気のシリーズでアニメ化されたとか,アマプラで1巻目だけ無料で読めました。面白かったよー。 問題を抱えて必要としている子供たち(大人も)にオンデマンド(?)で現れる商店街の路地の駄菓子屋…

世界をまどわせた地図 伝説と誤解が生んだ冒険の物語 エドワード・ブルック=ヒッチング

世界をまどわせた地図 伝説と誤解が生んだ冒険の物語 エドワード・ブルック=ヒッチング 関谷冬華訳 日経ナショナルジオグラフィック社 図書館本 古地図の写真が満載された楽しい図鑑のようです。この本にある50を超える,国、島、都市、山脈、川、大陸、種族…

涅槃の雪 西條奈加

涅槃の雪 西條奈加 光文社文庫 電子書籍 天保の改革が江戸の町に与えた影響を町与力の目線でとらえた骨太な時代小説です。老中水野忠邦配下の江戸町奉行三人,ご存じ金さんこと遠山景元,正義漢の矢部定謙,妖怪と呼ばれた鳥居耀蔵たちの政治的な駆け引きに…

昨日がなければ明日もない  宮部みゆき

昨日がなければ明日もない 宮部みゆき 文春文庫 『希望荘』の続き,杉村三郎第5作目です 杉村三郎は相変わらず竹中家の大きな邸の一隅に探偵事務所を構えています。手付金は5000円ポッキリ。 本当にこんな安くていいんですか?というお客さんがたまにきます…

ライフ・アフター・ライフ  ケイト・アトキンソン

ライフ・アフター・ライフ ケイト・アトキンソン 青木純子訳 東京創元社 図書館本 1910年2月10日,英国生まれのアーシュラ・ベレスフォード・トッドは,何度も死んで何度も生まれる。そんな女性の人生をくり返し描いた550頁2段組の大部の小説。人生双六のよ…

たまさか人形堂物語 津原泰水

たまさか人形堂物語 津原泰水 文春文庫 電子書籍 リストラされたOL澪が祖父の潰れそうな人形屋を引き継いで,人形オタクの青年と凄腕の人形師の2人の店員といっしょに,販売よりも修理を看板にしている「玉阪人形堂」。「ほのぼのミステリー」と思ったら,大…

セカンドライフ  新津きよみ

セカンドライフ 新津きよみ 徳間文庫 電子書籍 「定年」というキーワードで括られる,7つの短編です。初めての作家なのですが,読みやすい話ばかりです。老後とかシニアとか,こういうたぐいのキーワードが気になる年頃ですので,こういうような話はネットで…

消失の惑星 ジュリア・フィリップス

消失の惑星《ほし》 ジュリア・フィリップス 井上里訳 早川書房 図書館本 8歳と11歳の幼い姉妹(ソフィアとアリョーナ)が黒い車で男に連れ去られた章から始まる。主な舞台はカムチャッカ半島の南部の海岸線に位置する都市ペテロパヴロフスク・カムチャッキ…

敗者の嘘 アナザーフェイス2 堂場瞬一

敗者の嘘 アナザーフェイス2 堂場瞬一 文春文庫 電子書籍 アナザーフェイス2作目。シングルファーザーの大友鉄は,子育ての時間を作るために警視庁刑事総務課に在籍しているはずなのに,上の人の特命で変則的に強盗殺人放火事件にかかわることになります。…

「暮らし」のファシズム  大塚英志

「暮らし」のファシズム 戦争は「新しい生活様式」の顔をしてやってきた 大塚英志 筑摩書房 図書館本 戦時中の大政翼賛会の元で,人々の日常の暮らしの中にどのようにファシズムが侵入していったのかを検証している本です。国家総動員法のような,著者の言う…

見知らぬ友  マルセロ・ビルマヘール

見知らぬ友 マルセロ・ビルマヘール 宇野和美訳 オーガフミヒロ絵 福音館 世界傑作童話シリーズ アルゼンチンの作家の短編集で,図書館では児童書に分類されていました。対象は中学生以上,YAに相当するでしょうが,大人にも十分に響いてくる物語です。「ぼ…

蜜蜂  マヤ・ルンデ

蜜蜂 マヤ・ルンデ 池田真紀子訳 NHK出版 ミツバチをめぐる三つの物語です。第一の物語は,近代的な効率のいい養蜂技術が開発された19世紀半ばのイングランドでの研究者ウイリアムの憂鬱。第二の物語は,ミツバチの大量失踪が起きた21世紀初頭のオハイオ州で…

アナザーフェイス 1  堂場瞬一

アナザーフェイス 1 堂場瞬一 文春文庫 電子書籍 シングルファーザーの大友鉄は,幼い息子のために定時帰宅できる職場を選んで,捜査1課から総務課に異動した。亡くなった妻の母親(義母)のサポートをうけて,一人で息子を育てて2年たった時,子供の誘拐事…

バルバラ異界1~4  萩尾望都

バルバラ異界1~4 萩尾望都 flowers コミックス 小学館 電子書籍 大雨で毎日の散歩ができないことを言い訳に読書三昧の毎日です。コロナのために体操教室を止めてしまったので,本の購入費用も工面できます(頭の体操ということで)。さらに,デスクトップPC…

ロボット・イン・ザ・ファミリー  デボラ・インストール

ロボット・イン・ザ・ファミリー デボラ・インストール 松原葉子 訳 小学館文庫 シリーズ4作目。『ロボット・イン・ザ・スクール』でジャスミンとの突然の別れを経験したチェンバーズ家に新たに参加したのは,フランキーという謎のロボットです。タングが一…

おばちゃんたちのいるところ   松田青子

おばちゃんたちのいるところ 松田青子 中公文庫 電子書籍 17編の連作短編がすごくおもしろい!! “追いつめられた現代人のもとへ、おばちゃん(幽霊)たちが一肌脱ぎにやってくる。“という宣伝文句を頼りに読み始めました。どの話も日本の怪談(落語,講談,歌…

海と山のオムレツ  カルミネ・アバーテ

海と山のオムレツ カルミネ・アバーテ 関口英子訳 新潮クレストブックス 図書館本 目次がレストランのメニューのような形式になっていることがすべてを語っています。南イタリアのカラブリアに生まれた著者の,食べ物と家族への愛の記憶で埋め尽くされた連作…

ミツバチと文明 クレア・プレストン

ミツバチと文明 クレア・プレストン 草思社 倉橋俊介訳 図書館本 ミツバチと人類がどう関わってきたのか,人間がミツバチにどんなイメージを持ってきたのか,ミツバチが人類の歴史にどんな役割を果たしてきたのか(または,どんな役割を演じさせられてきたの…

希望荘 宮部みゆき

希望荘 宮部みゆき 小学館 次作『昨日がなければ明日もない』を読むのに記憶を呼び戻すため,杉村三郎シリーズの4作目を再読しました。読書記録をつけていない時期だったので,事件の内容はすっかり忘れていました。 『誰か』『名もなき毒』『ペテロの葬列』…