壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

2022-12-01から1ヶ月間の記事一覧

世直し小町りんりん  西條奈加

世直し小町りんりん 西條奈加 講談社文庫 Kindle Unlimited 今年最後の,お口直しに最適な,痛快というより軽快なエンターテインメント時代物です。元は『朱龍哭く 弁天観音よろず始末記』という単行本が改題されて文庫本になっています。元の題のほうが分か…

乗客ナンバー23の消失  セバスチャン・フィツェック

乗客ナンバー23の消失 セバスチャン・フィツェック 酒寄進一 訳 文春文庫 電子書籍 2020年,豪華クルーズ船はコロナの集団感染の実験場となり,その人気は失墜したかに見えました。その後,復活した船も,引退した船もあるようです。コロナさえ治まれば,や…

よこまち余話 木内昇

よこまち余話 木内昇 中公文庫 電子書籍 明治なのか大正なのか,いつの時代なのか,神社と御屋敷に挟まれた短い路地にある長屋にひっそりと住む人たちがいる。坂の多い場所なので東京の何処かかもしれない。齣江はお針子を生業としている。向かいの長屋に住…

くるみ割り人形とねずみの王さま/ブランビラ王女   ホフマン

くるみ割り人形とねずみの王さま/ブランビラ王女 ホフマン大島かおり訳 光文社古典新訳文庫 Kindle Unlimited クリスマスといえば『くるみ割り人形』が定番です。3年ぶりに来日しているウクライナ国立バレエ(旧キエフ・バレエ)の今年の演目はチャイコフス…

ロボット・イン・ザ・ホスピタル  デボラ・インストール

ロボット・イン・ザ・ホスピタル デボラ・インストール 松原葉子 訳 小学館文庫 「タング」のロボット・イン・ザ・ガーデンシリーズ 5作目です。 ロボット・イン・ザ・ガーデン ロボット・イン・ザ・ハウス ロボット・イン・ザ・スクール ロボット・イン・ザ…

刑事のまなざし/その鏡は嘘をつく/刑事の約束/刑事の怒り  薬丸岳

刑事のまなざし/その鏡は嘘をつく/刑事の約束/刑事の怒り 薬丸岳 刑事夏目信人シリーズ4冊 講談社文庫 Kindle Unlimited 昔見たTVドラマが好印象だった。主演俳優の顔以外,ドラマの詳細はすっかり忘れているので,読みたかった原作4巻を読み放題で一気読…

電柱鳥類学  三上 修

電柱鳥類学 スズメはどこに止まってる? 三上 修 岩波科学ライブラリー 電子書籍 散歩に行くたびに見かける電柱と鳥たちが研究対象になっている面白い本です。電線に止まるスズメとカラスの位置関係について深く考えたこともなかったけれど,そういえばカラス…

走れ、走って逃げろ  ウーリー・オルレブ

走れ、走って逃げろ ウーリー・オルレブ 母袋夏生 訳 岩波少年文庫 Kindle Unlimited ワルシャワのゲットーから貨車に乗せられて,多くのユダヤ人が絶滅収容所に送られていた頃のことです。ポーランド系ユダヤ人の8歳の少年スルリックは,ゲットーから逃げ出…

その昔、N市では  カシュニッツ

その昔、N市では カシュニッツ短編傑作選 マリー・ルイーゼ・カシュニッツ 酒寄 進一 訳 東京創元社 電子書籍 シーラッハの翻訳者である酒寄さんの編んだ,新訳による短編集。(酒寄さんの追っかけをしました。) 超常現象や幻想的な奇妙な味のものから,女…

シネマコンプレックス 畑野智美

シネマコンプレックス 畑野智美 光文社文庫 電子書籍 東京近郊の地方都市にあるシネコンで働く人々を描く連作7編。描かれるのはあるクリスマスイブの一日の出来事で,各編の語り手がそれぞれ違う持ち場で働く7人です。アルバイトやパートがたくさん働くシネ…

わたしの名は赤 上/下 オルハン・パムク

わたしの名は赤 〔新訳版〕 上/下 オルハン・パムク 宮下遼 訳 ハヤカワepi文庫 電子書籍 16世紀末,オスマン帝国支配下のイスタンブルで細密画の絵師が殺された。冒頭から,殺されて井戸に投げ込まれた屍が語り手となる。章ごとに次々と語り手が入れ替わり…