壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

ブラックサマーの殺人  M W クレイヴン

ブラックサマーの殺人  M W クレイヴン

東野さやか 訳  ハヤカワ・ミステリ文庫

ワシントン・ポーの二作目も面白かった。冒頭,高級レストランでポー部長刑事が逮捕される場面から始まり,何事が起きていたのかとわくわくさせられる。

6年前に三ツ星レストランから行方不明になった18歳の娘が,突然警察の前に姿を現したという。レストランのカリスマ・オーナーシェフが自分の娘を殺したとして,ポーが逮捕してシェフは刑務所に服役している。ポーは誤認逮捕の責任を取らされるどころか,もっと重大な罪で警察に追われることになった。逮捕されそうになりながら捜査するというハラハラドキドキの展開だった。

カンブリアの田園風景,暴風雨の中での捜査,分析官のティリー・ブラッドショーや上司のフリンたちとのチームワーク,行方不明になった娘の生死の真実など,読み応えたっぷりで600頁越えの厚い文庫を3日で読み切った。一作目よりエンターテインメント性が増して読みやすかったが,カリスマ・シェフのいる高級レストラン,特に真空調理を売りにしている店には行けなくなった(笑)。

宙ぶらりんのまま終わった,一作目の『ストーンサークルの殺人』で残虐な犯行を繰り返した犯人の真の意図を公にすることができたらしい。ところが二作目の終わりで,またポーは厄介な事態に陥ったらしい。どうなるの? 次作は既刊『キュレーターの殺人』!