壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧

わたしはイモムシ  桃山鈴子

わたしはイモムシ 桃山鈴子 工作舎 図鑑カフェの本 いつも行く博物館の図鑑カフェで見つけた! イモムシの体表の展開図が素晴らしい。解剖図ではない。写真や写生では同時に見る事の出来ない背側の模様と腹側の腹脚が続けて一枚に、精密な点描で描かれている…

香子(一) 紫式部物語  帚木蓬生

香子 紫式部物語 帚木蓬生 PHP研究所 図書館本 香子(かおるこ:紫式部)の『源氏物語』のメイキングともいえる作品だった。式部は如何にして源氏物語を書き上げていったのか。香子の視線で語られる紫式部の生い立ちと、香子が書く『源氏物語』が作中作のよ…

図書館に通う 当世「公立無料貸本屋」事情  宮田昇

図書館に通う 当世「公立無料貸本屋」事情 宮田昇 みすず書房 図書館本 月二回の移動図書館の日を何よりの楽しみにしている高齢者には、耳の痛い副題です。 著者の宮田氏は編集者・翻訳権エージェントとして長く働いていた方です。出版界の裏表の事情と、リ…

ナウシカ考  赤坂憲雄

ナウシカ考 風の谷の黙示録 赤坂憲雄 岩波書店 図書館本 『ナウシカ考』という「ナウシカ愛」がたっぷり詰まっていた。歌舞伎『風の谷のナウシカ』が上演されたころだったか、民俗学者の赤坂氏の力作として本書も評判になっていたのは覚えている。思い立って…

舟を編む   三浦しおん

舟を編む 三浦しおん 光文社 電子書籍 再読。NHKBSで放送中のドラマを見て、こんなエピソードあったかな?と、10年以上前の記憶を確かめた。出版社の辞書編纂部門の話だが、ドラマは原作の後半部分から始まっていた。そういえば映画もあった。原作は読みやす…

この本を盗む者は  深緑野分

この本を盗む者は 深緑野分 角川文庫 図書館電子書籍 出来たばかりの電子図書館で見つけて慌てて借りた本。『ベルリンは晴れているか』とは、作風が全く違うので読み始めは戸惑った。二十万冊を超える個人図書館を所有する一族に生まれたゆえに、本が嫌いな…

マーロー殺人クラブ  ロバート・ソログッド

マーロー殺人クラブ ロバート・ソログッド 高山祥子訳 アストラハウス 図書館本 英国コージーミステリでは、探偵が老婦人であることが定番なのだ。テムズ河畔のマーローに住む77歳のジュディスは、頭脳も体力もなかなかのもの。ある夜、自宅前のテムズ川で泳…

わたしはわたしで  東山彰良

わたしはわたしで 東山彰良 書肆侃侃房 図書館本 6編の短編集です。辛い人生とどう向き合うのか、重い選択を迫られる話も、巧みな語りに乗せられて面白く読みました。『流』の後日談があるというので、『流』を先に読んでおきました。 「I love you Debby」…

流  東山彰良

流 東山彰良 講談社文庫 電子書籍 著者の最新刊を図書館で借りたのだが、本書『流』を購入したまま読んでいないことに思い当たった。10年近く前の直木賞受賞作で評判になった当時から、読みたいと思っていた本なのに、Kindleの中に隠れていてすっかり忘れて…

片をつける   越智月子

片をつける 越智月子 ポプラ社 図書館本 隣に住む老婆の部屋の片付けをすることになったアラフォー女性の話。図書館でずいぶん前に予約した本だが、なぜ読みたかったのか覚えていない。たぶん、「老婆/片付け」が気になったのだろう。ライトなので、一日で…

隠居おてだま  西條奈加

隠居おてだま 西條奈加 角川書店 図書館電子書籍 図書館で初めて借りた電子書籍は、『隠居すごろく』の続編です。『すごろく』では、還暦を期に隠居したはずの徳兵衛の第二の人生は、充実したものになりました。徳兵衛が手助けした子供たちやその家族の幸せ…