壊れかけたメモリーの外部記憶

読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

一度きりの大泉の話 萩尾望都 / 少年の名はジルベール 竹宮恵子

一度きりの大泉の話 萩尾望都 

河出書房新社 電子書籍

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少年の名はジルベール 竹宮恵子

小学館文庫 電子書籍

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というネットの記事を読んで,この二冊の本を読みました。少女マンガは萩尾望都のSF作品を少し読んだ事があって,ちょっとだけファンです。竹宮恵子の作品の名前は知っていますが読んでいません。やじうま根性丸出しです。

竹宮恵子萩尾望都やその他の少女マンガ家たちが,50年ほど前に練馬区で共同生活を送り,いろいろ行き違い(?)があって決別し,その後50年近く関係が修復できていないというような話です。二人がそれぞれに語る出来事はそれほど矛盾しているわけではありませんが,事実の捉え方や気持ちは人ぞれぞれです。どちらも20代前半の若い女性たちで,同じ職業を目指していたわけですから,いろいろなことがあるのは当然です。

お互いに悪意が無くても,ある人が他の人にした行為が,したほうはそれほどのことではないと思っても,されたほうは深く傷つくことはよくある事です。それは一方的なものではなく,両方からの可能性もあるでしょう。50年たってそれほどのことではないと考える人もいれば,記憶にふたをするしかない程に深く傷ついている場合もあります。50年という年月だけでは消せない事もあると思います。

 

ところで,今月の下旬に卒業後50年近くたつクラス会があります。もちろんオンラインクラス会です。誰が言い出したのか,数十年ぶりなんですが,ちょっと気が重くて,なぜかな?と思っていました。 

そうだ!これだ! なんでこんなに長くクラス会をしていなかったのか? 何か自分の記憶に蓋をしていることはないのか? たぶん何にもないと思うけど… ちょっと怖くて,出欠の返信メールをまだ出していません。

猫は知っていた 二木悦子

猫は知っていた 二木悦子

講談社文庫  電子書籍

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二木悦子のミステリーデビュー作で,1957年の第3回江戸川乱歩賞受賞作ということですから,なんと64年前の作品です。映画やテレビにもなったようで,社会状況や生活環境の違いを差し引いても,コージーミステリとして十分に鑑賞できるロングセラーです。当時,このようなソフトでライトなミステリーは本当に新鮮だったのでしょう。

 

せっかく電子書籍になっているので,ALEXAで「睡眠読書」を試みました。二木兄弟が,事件の舞台となった箱崎医院にたどり着いた辺りで寝付き,そのまま5~6時間ほど朗読を聞きながら熟睡しました。加齢ゆえの睡眠障害でいつもは眠りが浅いのですが,なぜか合成音声の音でよく眠れます。朝6時過ぎに目が覚めかけ,半分寝ぼけて,犯人の殺害動機の告白を聞きました(あーあ)。もちろんもう一度,字を読みました。

ロボット・イン・ザ・スクール  デボラ インストール

ロボット・イン・ザ・スクール  デボラ インストール

松原葉子訳 小学館文庫

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タングの三作目です。ベンとエミリーの四歳の娘ボニーがプレスクールに通い始めました。当然タングも「僕も学校に行きたい!」。ロボットが学校に通うなんて許可が下りず,通学できなくてベンが奮闘する話なのかと思っていたら,ちがう,すんなり入学できました。二人とも学校ではいろいろありますが,高い共感性をもつタングはクラスにすんなりなじんだようです。ボニーの方はいろいろ問題が…。度胸の据わったボニーが頼もしい。

 

三作目になると,子供たち(人間もロボットも)の可愛さよりも,子供たちが学校に通うようになって,ベンとエミリーの親としての自覚が一層問われる場面が増えてきました。ベンもだいぶ成長したようで,子供たちへ戸惑いながらもちゃんと対応できるようになりました。エイミーの仕事のついでに家族で東京に一か月滞在して,日本文化に驚く外国人「あるある」も出てきて,これは英国よりも日本でヒットしたことへのサービスでしょうか。最後の最後で,ベンはジャスミンの突然の○○にはパニくってしまいましたが,そこまで大人の対応はできないよね。突然の別れに家族全員がうなだれて帰国すると,新たな展開が… 第四作に続く…よね。

 

学校で飼っていたナナフシを休暇中に預かったことで大変なことが起こりました。ナナフシがイボタノキの葉しか食べないなんて知らなかった。食草探しが大変だったことを思い出しました。

30年以上前に,小学校低学年の娘が夏休み前に教室で飼っていたカイコの幼虫を数十匹,持って帰ってきたときにはビビりました。昆虫が怖いわけではないけれど,毎日桑の葉をやりフンの掃除をするのはなかなかの作業でした。夏休みの最後にはカイコの体色が半透明になり蛹化が始まったので,急いでボール紙で細かい枠をたくさん作り,繭になったカイコを休み明けに学校に返しました。楽しかったなあ。

親も子供によって新しい体験をするのです。

赤い猫 二木悦子

赤い猫 二木悦子

講談社文庫  電子書籍

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二木悦子の後期の短編が6編。前半3編がアームチェアディテクティブ,中3編が二木兄弟シリーズで昭和50年代に書かれたもの。昭和の香りのコージーミステリと言ったらいいのでしょうか,殺人事件を扱いながらも話の展開は柔らかくて,でもけして単調ではないどんでん返しがあったりします。ほとんどが会話で進行する話や,探偵役が一人語りする筋なので読みやすいし,嫌なことが起こりそうもない,心配せずに楽しめるミステリーでした。寝る前読書にピッタリ。

 

あの頃の二木悦子の活躍はよく知っていましたが,ミステリーを読んだのはたぶん初めてです。二時間ドラマになっていたのは見たことがあるのかもしれません。電子書籍のバーゲンセール(?)で,二木悦子のミステリーデビュー作も見つけたので読みます。

 

『赤い猫』 車いすの老婦人が18年前の事件を解き明かす

『白い部屋』 怪我で入院中の私立探偵三影潤が数か月前の事件を解き明かす

『青い香炉』 植物学者二木雄太郎が解く○○殺人。嵐の山荘に閉じ込められて…密室殺人じゃない…

『子をとろ子とろ』 ピアノ教師浅田悦子が解く,子供たちが怖がる「子とろ女」のかなしい過去

『うさぎさんは病気』 ピアノ教師浅田悦子が解く,女の子の超能力?

『乳色の朝』 新聞記者吉村駿作が解く誘拐事件

グレゴワールと老書店主 マルク・ロジェ

グレゴワールと老書店主 マルク・ロジェ

東京創元社 海外文学セレクション  図書館本

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18歳のグレゴワールは老人ホームで働き始めた。元書店主のムッシュー・ピキエは,ホームの自室に3000冊の本を持っているが,体も目も不自由になってグレゴワールに朗読を頼んだ。今まで本に興味のなかったグレゴワールがピキエの勧めに従っていろいろな本を読んでいくうちに世界が開け,最後にはピキエの頼みで一人巡礼の旅にでる。

 

本を読むことが,人の成長にどんなに大事かを教えてくれる本です。でも堅苦しいことはなく,フランス文化らしい軽くて笑いのある語り口です。ダイ・シージエの『バルザックと小さな中国のお針子』を思い出しました。こちらは西洋の本がすべて禁書になっていた文革時代の不自由な読書ですが,自由な世界であったとしても,子供たちが本を読むには,それなりの環境やきっかけがなければならないと思います。

 

 

2人の信頼関係が深まり友情が生まれてくると同時に,グレゴワールは読書を通じて外の世界を知り積極的になっていくが,ピキエ老人は反対に少しずつ衰えていく。その衰えを知る老人は。焦る気持ちがあるのでしょうね,グレゴワールに本と朗読の意味を伝えたくて,彼に運河で泳ぐという無理なトレーニングまでやらせる。

♪朗読って,結構,体力が必要らしいです。ドリアン助川の『朗読ダイエット』には,10ヶ月で46キロの減量に成功した例があり,岩波版のモーパッサンをすべて読破(朗読)したそうです。立って行う朗読は全身運動らしい。『朗読ダイエット』は私の場合は,残念ながら本を読んだだけになりました。

 

退屈な老人ホームでの朗読会は大人気となって老人たちを楽しませた。中学の音楽の先生だったマダム・モレルは,グレゴワールの朗読を聞きながら臨終の時を迎えたいという希望をかなえた。グレゴワールが読んだのは『海の上のピアニスト』(アレッサンドロ・バリッコ)。

♪私も高齢者になって読書がしんどい時があります。昔の文庫本は字が小さくてもう読めません。電子書籍は好きではないけれど,字が大きいので助かります。そしてだいたいの電子書籍はALEXAが読んでくれます。読みは下手だし訳の分からない誤読が多いけれど,入眠困難を解消してくれるのがALEXAです。本を読んでもらうとなぜかすぐに眠くなって寝てしまい,夜中や朝までずっと読み続けてくれるので,不思議と安眠できます。ただ私は,本の内容を耳からはあまり理解できない活字中毒なので,もう一度,目で読み返します。臨終の時もALEXAにお願いしよう。もっと上手になっていてね。目次のこと「めつぎ」と読まないように!

 

ムッシュ―・ピキエの自室には3000冊の本がある。はじめは青少年向きの本からだんだん大人向きの本になって,さらに禁書。それをトイレの下水管を使って夜中にこっそり朗読会をする。

♪60平米の広さの自室だというから,3000冊の本も収まるのでしょうね。日本の一般的な老人ホームだと20平米以下ではないでしょうか。…というようないずれどこかの施設に入る者としてはそんなことが気になります。(Kindle持っているので,ヨシ!)それにトイレの封水を無くしたらものすごい悪臭だし…。この本に出てくる本は,フランスの文学が多くて読んだ事がありません。書名を少し拾い出しておきましょう。悪臭と共に読まれた禁書はどれだ?

 

ライ麦畑でつかまえて

モーパッサン 短編「装い」「トワーヌ」「ペロム師の獣」「売りもの」「メゾン・テリエ」「脂肪の塊」

『あおい犬』 ナジャ

『うんちっち』 ステファニー・ブレイク

『怪物の口の中』 コレット・バルベ ジャン=リュック・ベナゼ

『マーティン・イーデン』 ジャック・ロンドン

『父の大手柄』『母のお屋敷』『秘めごとの季節』『恋する時』マルセル・パニョル 少年時代

『徒刑場を訪ねて』ヴィクトル・ユゴー

『水と夢』ガストン バシュラール

『夜の果てへの旅』 セリーヌ

『紙の女』フランソワーズ・レイ

『イレーヌのコン』ルイ・アラゴン

『一万一千本の鞭』 ギョーム・アポリネール

『聖餐城』ベルナール・ノエル

アナイス・ニン

ブコウスキー

『マリー・クレールのアトリエ』マルグリット・オードゥ

『14年の人々』モーリス・ジュヌヴォワ

『薔薇の奇跡』ジャン・ジュネ

七王国の玉座ジョージ・R・R・マーティン →「氷と炎の歌」→Game of Thrones !!

『二十の愛の歌と一つの絶望の歌』パブロ・ネルーダ

『第4の書』フランソワ・ラブレー

『老人狩りブッツァーティ

主よ、永遠の休息を 誉田 哲也

主よ、永遠の休息を 誉田 哲也

実業之日本社文庫  電子書籍

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就寝前の読書としては選択ミスでした。悲惨で痛ましい事件を扱っているのにページタナーで,読み終えてもどこにも救いがありません。こんなひどい話を読んでいるのに読むのをやめられない自分が嫌いになりました。あらすじを書き留める元気はありません。

題名から希望のある救済の話を予想していたのに,『主よ、永遠の休息を』は絶望の言葉でした。最後の場面で涙しました。読み終わって,桐江という名前は「キリエ・エレイソン」から来ているのかなと思いました。

 

 

次は何か「いい話」を読もうと図書館へ出かけましたが,前後が休館日で,貸出カウンターには館の外まで人が並び密な状態でしたので,予約本だけ受け取って早々に帰宅しました。

猫の傀儡 西條奈加

猫の傀儡 西條奈加

光文社文庫 電子書籍

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猫が主人公の痛快時代ミステリーです。猫が人間を操って事件を解決する,これって江戸時代の三毛猫ホームズ? 三毛猫ホームズを読んだ事もなく猫を飼ったこともないのだけれど,とても楽しめました。猫の鳴き声は人間を操るというのは本当だと思う。子猫連れの若い野良母猫にわが家の庭で「ニャー」と頼まれた時,どうしようかすごく悩んだもの。

 

「猫の傀儡」 野良の「ミスジ」は失踪した先代の猫の傀儡師「順松」の跡を継いだ。操る人間の傀儡は売れない狂言作家の「阿次郎」。猫町の猫の厄介事を,人間に悟られずに解決するのかお役目だ。初仕事は,花盗人の疑いをかけられた「キジ」を助け,ついでに人間たちの厄介事を見事に解決する。

「白黒仔猫」 カラスにさらわれた白い仔猫を助け,行方不明になった黒い仔猫を探し,ついでに人間の女の子を助ける。

十市と赤」 恩のある老猫「赤爺」を助けようとして,殺しの犯人にされた「十市」の冤罪を晴らす。

「三日月の仇」 因縁のあるカラス「三日月」の助けをかり,連続殺猫殺カラス事件を解く。

「ふたり順松」 失踪した「順松」の手がかりが見つかったのか。同時期に失踪した二人と一匹の行方は…

「三年宵待ち」 辰巳芸者「順松」と根付師「時雨」の事情が分かり,猫町大捕物」が始まった。

 

直木賞受賞作の『心淋し川』を読もうと思ったけれど,図書館の予約が3桁なのであきらめました。