壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

月まで三キロ  伊予原 新

月まで三キロ 伊予原 新 新潮文庫 Kindle unlimited 静岡書店大賞受賞作だそうだ。コロナ前にリアル書店に平積みされていた本なので気になっていたが,いわゆる「いい話」らしく手を出しかねていた。読み放題で見つけたので読んだ。 「月まで三キロ」「星六…

どぶどろ  半村 良

どぶどろ 半村 良 扶桑社BOOKS文庫 Kindle unlimited 1970年代に書かれた時代小説ですが,宮部みゆきに「いつかこんな小説を書いてみたいと思いました」と言わしめ、また彼女の長編時代小説『ぼんくら』のヒントになったそうです。7編の連作短編と長編1編か…

後悔するイヌ、嘘をつくニワトリ ペーター・ヴォールレーベン

後悔するイヌ、嘘をつくニワトリ 動物たちは何を考えているのか? ペーター・ヴォールレーベン 本田雅也訳 ハヤカワ文庫NF 電子書籍 動物は好きだけれど自分では飼えないから,動物の写真や動画で癒されています。叱られてバツが悪そうな表情のイヌ,ガッカ…

宇宙衞生博覽會  筒井康隆

宇宙衞生博覽會 筒井康隆 新潮文庫 電子書籍 異星人とのファースト・コンタクトで思い出した筒井康隆の短編「最悪の接触(ワースト・コンタクト)」が含まれる8編からなる短編集『宇宙衞生博覽會』は,40年以上前に刊行されたとき,横井忠則のド派手なカバー…

プロジェクト・ヘイル・メアリー   アンディ・ウィアー

プロジェクト・ヘイル・メアリー(上・下) アンディ・ウィアー 小野田和子訳 早川書房 電子書籍 アンディ・ウィアーの三作目。面白かったので,映画化されたらぜひ見たい。 太陽エネルギーが指数関数的に減少して,地球があっという間に氷河期になるという…

春の庭  柴崎友香

春の庭 柴崎友香 文春文庫 電子書籍 『かわうそ堀怪談見習い』に惹かれて,著者の受賞作を読みました。恋愛でもなければ,ミステリでもホラーでもなく,ただただ日常の出来事を描写した物語ですが,話の推進力は写真集にある「水色の洋館風の建物」にあるの…

天災から日本史を読みなおす  磯田道史

天災から日本史を読みなおす 先人に学ぶ防災 磯田道史 中公新書 電子書籍 先日の台風は直撃を免れたけれど,大型で強いため日本の広い範囲に影響があった。台風の通り道であり,地震の巣の上に存在する日本は,この先どうなっていくのだろうと不安になる。個…

悔恨の日  コリン・デクスター

悔恨の日 コリン・デクスター 大庭忠夫訳 ハヤカワミステリ文庫 電子書籍 モース警部(Inspector Morse)シリーズの最終巻です。まさにモースの悔恨の日(The Remorseful Day)でした。 一年前のイヴォンヌ・ハリスン殺人事件は未解決のままでしたが,テムズ…

アルテミス  アンディ・ウィアー

アルテミス(上・下) アンディ・ウィアー 小野田和子訳 ハヤカワ文庫SF 電子書籍 『火星の人』の面白さにつられて、アンディ・ウィアーの第二作『アルテミス』を読んだ。(半額セールにもつられた。) 舞台は月面の都市アルテミスは、建設されて間もない。…

かかし長屋  半村良

かかし長屋 半村良 集英社文庫 電子書籍 善人長屋で思い出した本書。未読でした。 大川端にある「かかし長屋」は、証源寺の先代の住職が貧しい人を救済するために建てたものでした。「かかし」のように、毎日同じ着物を着ているというような貧乏人の吹き溜ま…

娘は娘  アガサ・クリスティー

娘は娘 アガサ・クリスティー 中村妙子訳 クリスティー文庫 電子書籍 メアリ・ウェストマコット名義の六冊のロマンス小説のうち、三冊目です。未読だと思っていたのにKindleのマイライブラリーに入っていて、読了となっていました。誰が読んだの? 私? 読み…

善人長屋  西條奈加

善人長屋 西條奈加 新潮文庫 Kindle unlimited 人情時代物は、疲れた頭を癒してくれます。読み放題なので、お財布も癒してくれます。 住人がみな裏稼業を持つ悪党たちという善人長屋に、根っからの善人である加助が住みつきました。困っている人を見ると助け…

恐怖の哲学  戸山田和久

恐怖の哲学 ホラーで人間を読む 戸田山 和久 NHK出版新書 Kindle unlimited 前回、怪談を読んでいて薦められた読み放題本なので、気楽に読み始めたのだが、迷路のように迷いに迷った。紙の本だと新書なのに異様に厚いという事が分かるので、読み始めに身…