壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ホテル  エリザベス・ボウエン

ホテル エリザベス・ボウエン 太田良子訳 国書刊行会 図書館本 ボウエンの短編集『あの薔薇を見てよ』,『幸せな秋の野原』は手ごわかったけれど,非常に魅力的だった。わかりにくさは訳文のせいもあるけれど,それ以上にあいまいな描写や結末に戸惑った。で…

鋼鉄都市  アイザック・アシモフ

鋼鉄都市 アイザック・アシモフ ハヤカワ文庫 電子書籍 50年以上前にアシモフはたくさん読んだ記憶があるのですが,科学解説書だけで小説は読まなかったのかもしれません。続編の新訳版『はだかの太陽』を貰ってあるので,まずは『鋼鉄都市』から。1954年に…

羊は安らかに草を食み  宇佐美まこと

羊は安らかに草を食み 宇佐美まこと 祥伝社 図書館本 二十年来の友人だった益恵が認知症になり、俳句仲間の八十歳のアイと七十七歳の富士子は三人で最後の旅に出た。いつも穏やかで元気だった益恵が認知症になって時々見せる心の重荷を感じて,夫の三紀夫は…

与楽の飯 東大寺造仏所炊屋私記  澤田瞳子

与楽の飯 東大寺造仏所炊屋私記 澤田瞳子 光文社文庫 電子書籍 夏のKindleキャンペーンにつられて買った本です。 東大寺毘盧舎那仏鋳造の労役の為,平城京に召集された近江国の二十一歳の真壁の視線で,造仏所の労働とその人間模様が細かに描かれています。…

二年半待て  新津きよみ

二年半待て 新津きよみ 徳間文庫 電子書籍 セカンドライフがなかなか良くて,就寝前読書にもう一冊読んでみました。就活・婚活・恋活・妊活・保活・離活・終活をテーマにした7つの短編です。女たちの日常の話で読みやすく,最後に仕掛けがあります。一気に読…

ヨーロッパ退屈日記 / 女たちよ!  伊丹十三

ヨーロッパ退屈日記 伊丹十三 新潮文庫 女たちよ! 伊丹十三 新潮文庫 文庫本のあとがきで,関川夏央氏はこう書いています。 “『ヨーロッパ退屈日記』は,1965年の高校生にとって一大衝撃だった。” まさにこの言葉に尽きるのです。そのころに高校の級友に貸…

ふしぎ駄菓子屋 銭天堂  廣嶋玲子

ふしぎ駄菓子屋 銭天堂 廣嶋玲子 偕成社 電子書籍 小学生に人気のシリーズでアニメ化されたとか,アマプラで1巻目だけ無料で読めました。面白かったよー。 問題を抱えて必要としている子供たち(大人も)にオンデマンド(?)で現れる商店街の路地の駄菓子屋…

世界をまどわせた地図 伝説と誤解が生んだ冒険の物語 エドワード・ブルック=ヒッチング

世界をまどわせた地図 伝説と誤解が生んだ冒険の物語 エドワード・ブルック=ヒッチング 関谷冬華訳 日経ナショナルジオグラフィック社 図書館本 古地図の写真が満載された楽しい図鑑のようです。この本にある50を超える,国、島、都市、山脈、川、大陸、種族…

涅槃の雪 西條奈加

涅槃の雪 西條奈加 光文社文庫 電子書籍 天保の改革が江戸の町に与えた影響を町与力の目線でとらえた骨太な時代小説です。老中水野忠邦配下の江戸町奉行三人,ご存じ金さんこと遠山景元,正義漢の矢部定謙,妖怪と呼ばれた鳥居耀蔵たちの政治的な駆け引きに…

昨日がなければ明日もない  宮部みゆき

昨日がなければ明日もない 宮部みゆき 文春文庫 『希望荘』の続き,杉村三郎第5作目です 杉村三郎は相変わらず竹中家の大きな邸の一隅に探偵事務所を構えています。手付金は5000円ポッキリ。 本当にこんな安くていいんですか?というお客さんがたまにきます…

ライフ・アフター・ライフ  ケイト・アトキンソン

ライフ・アフター・ライフ ケイト・アトキンソン 青木純子訳 東京創元社 図書館本 1910年2月10日,英国生まれのアーシュラ・ベレスフォード・トッドは,何度も死んで何度も生まれる。そんな女性の人生をくり返し描いた550頁2段組の大部の小説。人生双六のよ…

たまさか人形堂物語 津原泰水

たまさか人形堂物語 津原泰水 文春文庫 電子書籍 リストラされたOL澪が祖父の潰れそうな人形屋を引き継いで,人形オタクの青年と凄腕の人形師の2人の店員といっしょに,販売よりも修理を看板にしている「玉阪人形堂」。「ほのぼのミステリー」と思ったら,大…