壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧

完全記憶探偵  デイヴィッド・バルダッチ

完全記憶探偵 デイヴィッド・バルダッチ 関麻衣子訳 竹書房文庫 上下合本版 Kindle unlimited 『火星の人類学者』では驚異的な記憶力を持つ人々が取り上げられていました。そのような超記憶症候群の探偵が主人公のアメリカンミステリーです。ドラマを見てい…

火星の人類学者  オリヴァー・サックス

火星の人類学者 --脳神経科医と7人の奇妙な患者-- オリヴァー・サックス 吉田利子訳 ハヤカワ文庫NF 電子書籍 人生の終わりに近づき、何回目かの蔵書整理をしています。残り少ない紙の本に決別し、どうしても捨てられない本だけ電子書籍に買い直そうかとも考…

心淋し川  西條奈加

心淋し川 西條奈加 集英社文庫 電子書籍 連作短編の時代小説。5編の短編と1編の中編という構成だ。読み終えて半村良の『どぶどろ』を連想した。5編の短編では、古びた貧しい長屋に住む人たちの暮らしを描いている。独立した短編としても成立する。最後の中編…

白雪姫には死んでもらう  ネレ・ノイハウス

白雪姫には死んでもらう ネレ・ノイハウス 酒寄進一訳 創元推理文庫 ドイツミステリ、オリヴァー&ピア・シリーズの四作目は、さらに厚くなって文庫本570頁。題名もキャッチ―だが、これは原題Schneewittchen muss sterbenに近い。 11年前の少女連続行方不明…

飛族  村田喜代子

飛族 村田喜代子 文春文庫 電子書籍 『蕨野行』でも『エリザベスの友達』でもそうだったが、村田さんの描く婆さんたちの魅力的なこと! 生死の境を軽々と乗り越えて、身体は動かなくなりつつも、海と空を自由に羽ばたくような精神を持っている。面白くて、わ…

脳はなにを見ているのか   藤田 一郎

脳はなにを見ているのか 藤田 一郎 角川ソフィア文庫 電子書籍 15年ほど前に書かれた本だがわかりやすい(六割引きで安かった)。目で見たものが脳で処理されて、初めて「見えた」と知覚する。カメラに写し取られた映像とは異なり、私たちが「見ている」映像…

百年と一日  柴崎友香

百年と一日 柴崎友香 筑摩書房 電子書籍 不思議なのか、普通なのか、どちらなんだろう・・・という事はやはり不思議なのだろうか、30余りの短編集。すべてのタイトルがとても長い。第一話は「一年一組一番と二組一番は、長雨の夏に渡り廊下のそばの植え込み…

叔母との旅  グレアム・グリーン

叔母との旅 グレアム・グリーン 小倉多加志訳 早川書房 グレアム・グリーン全集22 電子書籍 前回読んだ『ベルリンは晴れているか』からの連想でたどり着いたグレアム・グリーン。前世紀にずいぶん流行ったらしく、全集が出ていた。電子化されていて、気楽に…

ベルリンは晴れているか  深緑野分

ベルリンは晴れているか 深緑野分 ちくま文庫 電子書籍 4国分割統治下のベルリン。ドイツ人の娘17歳のアウグステは、米軍憲兵に突然連行され、ソ連管轄下の警察に連れていかれた。遺体検分させられたのは、アウグステの恩人ともいえる男性だった。歯磨き粉に…

哀惜  アン・クリーヴス

哀惜 アン・クリーヴス ハヤカワ・ミステリ文庫 電子書籍 アン・クリーヴスの新シリーズ第一作。アン・クリーヴスの小説は初読みですが、ドラマ化された作品「ヴェラ・スタンポープ」シリーズを現在視聴中です。荒野の続くノーサンバーランドを舞台にしたド…