壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

2006-01-01から1年間の記事一覧

でかした、ジーヴス ウースター家の掟

でかした、ジーヴス P.G.ウッドハウス 森村たまき 訳 国書刊行会 ウッドハウスコレクション 2006年 2200円 ウースター家の掟 ジーヴス P.G.ウッドハウス 森村たまき 訳 国書刊行会 ウッドハウスコレクション 2006年 2200円 両方とも去年出た本なので、あ…

比類なきジーヴス

比類なきジーヴス P.G.ウッドハウス 森村たまき訳 国書刊行会 2005年 2100円 イギリス生まれのユーモアミステリー作家ウッドハウスのシリーズが最近、二ヵ所から刊行されています。文芸春秋社と国書刊行会がそれぞれウッドハウス選集、ウッドハウスコレク…

環境考古学への招待

環境考古学への招待 発掘からわかる食・トイレ・戦争 松井章 岩波新書 2005年 740円 貝塚(つまり当時のゴミ捨て場)やトイレ、果ては戦場跡の遺体まで掘り起こし、土に含まれる、骨、植物種子、プラントオパール、寄生虫卵、ミネラルを分析しては、当時の生…

奥様はネットワーカ 他二冊

奥様はネットワーカ 森 博嗣 1600円 メディアファクトリー 2002年 工学部・水柿助教授の日常 幻冬舎 1500円 2001年 ダウン・ツ・ヘヴン 中央公論新社 1800円 2005年 森 博嗣の本は初めてです。「すべてはFになる」は図書館で貸出中で、あまり手擦れていない…

性病の世界史

王様も文豪もみな苦しんだ性病の世界史 ビルギット・アダム 瀬野 文教 訳 草思社2003年 1890円 感染症の歴史について読み進めるうちに見つけました。感染症としての性感染症は大筋のところはマクニールの「疾病の世界史」などと同様です。しかし文化史として…

死体につく虫が犯人を告げる

死体につく虫が犯人を告げる A Fly for the prosecution マディソン・リー・ゴフ2000年 垂水雄二 訳 草思社 2002年 法医昆虫学の話です。ミステリーにはよく出てくる話ですが、実際の事件に沿った話をよむのは初めてです。死体、それも非業の死を遂げた死体を…

不思議事件簿

オカルト探偵ニッケル氏の不思議事件簿 ジョー・ニッケル ジョン・フィッシャー 佐藤雅彦 訳 東京書籍 2001年 2200円 ジョー・ニッケルはもと手品師で、CSICOP;Committee for the Scientific Investigation of Claims of the Paranormal (サイコップ;疑似…

ナスカ 地上絵の謎

ナスカ地上絵の謎 砂漠からの永遠のメッセージ アンソニー・F・アヴェニ 増田義郎 監修 武井摩利 訳 創元社2006年 2800円 ナスカの地上絵 シモーヌ・ワイスバード 恩蔵 昇訳 川崎 通紀 訳 大陸書房1983 1500円 数ヶ月前ナスカ展を見ました。地上絵はあまり…

遺伝子神話の崩壊

遺伝子神話の崩壊 デイヴィッド・S.ムーア 池田清彦、池田清美訳 徳間書店 2200円 2005年 遺伝子決定論が遺伝子神話ということでしょうか。遺伝子が全てを決定するなどとは、ドーキンスでさえ主張していないと思います。ありもしない神話を作り上げ、それと…

知の歴史

知の歴史―世界を変えた21の科学理論 (単行本) ネイチャー特別編集 徳間書店 2002年 ホメオティック遺伝子について簡単に書いた部分を読みたくて、図書館で借りました。 Mutations affecting segment number and polarity in Drosophila Nature 1980 Oct 30; …

おまけのこ

おまけのこ 畠中恵 新潮社 2005年 1300円 三時間の暇つぶしに買ってしまいました。しゃばけシリーズの第4作で、ぬしさまへ(第二作)までは読んだのですが。ねこのばば(第三作)とうそうそ(第五作)は未読です。 青春アドベンチャーで聞いたのが面白くて読…

親指のうずき 運命の裏木戸

親指のうずき アガサ・クリスティー 深町真理子早川書房 クリスティー文庫49 運命の裏木戸 中村能三 早川書房 クリスティー文庫50 オリバー・サックスのオアハカ日誌を読みながら思い出してしまったトミーとタッペンスシリーズの第4作と第五作で、運命の裏木…

地中生命の驚異

地中生命の驚異 秘められた自然誌 D.W.ウォルフ 2001年 長野敬 赤松真紀 青土社 2003年 何やらあわただしい事の連続で、一ヶ月の不在でした。今週末は予定なしなので、年末になる前にまとめてアップしたいものです。 この本には、地中の極限環境微生物extrem…

消された科学史

消された科学史 O.サックス、S.J.グールド、D.ケヴレス、J.ミラー、R.C.ルーウォンティン 渡辺政隆 大木奈保子訳 みすず書房 1997年2200円 無意識を意識する ミラー 梯子図と逆円錐形図―進化観を歪める図像 グールド 嫌われものを追う―がんとウイルスと勇気…

科学哲学の冒険

科学哲学の冒険 サイエンスの目的と方法をさぐる 戸山田和久 NHKブックス 2005年 1120円 著者の擁する科学的実在論は、多少なりとも自然科学をかじったものとしては、すんなりと受け入れることのできる哲学的立場です。素朴な科学的実在論しか理解してい…

なつかしく謎めいて

なつかしく謎めいて アシュラ K ル グィン 谷垣暁美 訳 河出書房新社 2005年 1600円 原題はChanging Planesで空港での飛行機乗り換えと次元をかけたもので、次元間旅行で訪れたさまざまな世界の話。典型的なSFであっさりと読めてしまうのですが、そこにはル…

オールウェイズ・カミングホーム

オールウェイズカミングホーム(上 下) アーシュラ K ル グィン 星川淳 訳 平凡社 1997年 各2800円 数万年後の未来の考古学を専攻している文化人類学者が、まだ存在していない言語を翻訳したテキストや作品などの集大成。ケシュ文化の詩や歌や物語を読んで…

善意の殺人

善意の殺人 Excellent Intentions リチャード ハルHull, Richard 森 英俊 訳 原書房2006年 2200円 戦前のイギリスの推理小説で、「伯母殺人事件」が有名な作家だそうですが、記憶にありません。何故か今頃、翻訳が一冊だけ出ました。著作権が切れたからなの…

図書館は本をどう選ぶか

図書館はどう本を選ぶか 図書館は本をどう選ぶか 安井一徳 勁草書房 2006年 2100円 日本の公共図書館での、本を選ぶ基準はなにか、という議論です。たまたま、思いがけずおもしろい本を、いきつけの図書館で見つけたとき、この本は誰かがリクエストしていれ…

オアハカ日誌

オアハカ日誌 オアハカ日誌 Oaxaca Journalメキシコに広がるシダの楽園 オリヴァー・サックス 林 雅代訳 早川書房 2004年1800円 サックスはシダ植物愛好家たち十数名とツアーを組んで、メキシコオアハカ州に10日間の旅に出ます。ミクロネシアの旅(色のない島…

ギフト 西のはての年代記Ⅰ

ギフト Gifts 西のはての年代記Ⅰ アーシュラ・K・ル グウィン 谷垣 暁美訳 河出書房新社 2006年 1600円 ル グウィンの最新刊です。西のはての年代記三部作の初巻で、Voices、Powersと続くそうです。無駄のない文章に、イメージがどんどん広がっていきます。…

手話の世界へ

手話の世界へ Seeing Voices オリバー・サックス 佐野正信訳 晶文社 1996年 手話が単なる口語言語の逐語翻訳ではなく、もっと自由で奥深いもので、独立した言語体系を持つのだという説明でした。手話についての知識が全くないので、どのような言語体系な…

サックス博士の片頭痛大全

サックス博士の片頭痛大全 オリヴァー・サックス 著、春日井 晶子・大庭 紀雄 訳 早川書房 軽い片頭痛持ちとして、前から読みたいと思っていたのですが、これは医学エッセイの枠を超えています。片頭痛の症例を細かく分類して、片頭痛に伴う視覚異常や麻痺が…

色のない島へ

色のない島へ オリバー・サックス 脳神経外科医のミクロネシア探訪記 The Island of the Colorblind 大庭紀雄監訳 春日井晶子訳 早川書房 1995年 2100円 サックスの「火星の人類学者」では、後天的に色覚を失った画家の、自己受容と内的世界の変容について書…

砂漠の船

砂漠の船 篠田節子 双葉社 2004年 1600円 両親の出稼ぎ経験をもつサラリーマンの、単身赴任を断わってまでニータウン団地という地域社会に密着した家庭生活を守りたいという願いが、妻や娘に受け入れられず、徐々に崩壊していく家庭。ホームレスの死から、地…

女たちのジハード

女たちのジハード 篠田節子 集英社 1997年 2050円 有名な本だから、読んだと思ったのですが、一部しか覚えていませんでした。確かにテレビドラマにぴったりの、読後感爽快な話でした。このところ女流作家の小説が続きます。やっぱり読みやすいのかなあと思い…

ぼんくら

ぼんくら 宮部みゆき 講談社 2000年 1800円 宮部みゆきの時代小説は、見つけると読んではいたのですが、未読のものがありました。 未読のものが見つかるのは、楽しみです。 「ぼんくら」は連載中に一部読んだだけですので、「日暮し」「あかんべえ」「孤宿の…

インタンジブル ゲーム

インタンジブル ゲーム 幸田真音 講談社 1996年 1900円 経済小説という分野らしいのですが、初めて読みました。幸田真音という名前すら知りませんでした。 最近「マネー ハッキング」と改題されて文庫から出ていました。友人に進められて読んだものですが、…

パーフェクト プラン

パーフェクト・プラン 柳原慧 宝島社 2004年 1600円 宝島の「このミステリーがすごい大賞」第二回受賞作だそうで、ミステリーとはいえ、偏食(読)で自分からは読まない本が多いのですが、友人に薦められました。「このミス大賞」応募の条件が、400枚から800…

アクアリウム

アクアリウム 篠田節子 1993年 スコラ 奥多摩の鍾乳洞地底湖に棲む知的生物(の幻想)に取り付かれた主人公(地方公務員)が、環境保護運動に巻き込まれていきます。環境保護団体の裏側も出てくるけれど、熱帯魚オタクの主人公が突然行動派になるところが不…