壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧

武蔵野倶楽部

武蔵野倶楽部 村松 友視 文藝春秋 2007年 1750円 図書館の新刊コーナーで見つけた本です。「時代屋の女房」くらいしか読んだ事がありませんが、長いこと住んでいた「武蔵野」にひっかかって読むことにしました。 吉祥寺、神楽坂、金沢、神戸、一ノ関、札幌――…

ナツメグの味

ナツメグの味 ジョン・コリア 垂野 創一郎 他 訳 河出書房新社 KAWADE MYSTERY 2007年 2000円 ナツメグの和名はニクズク。子どもの頃に読んだ「二人のロッテ」で、ルイーゼが母親のキッチンで料理をする場面に出てきた“ニクズク”が印象的でした。ずいぶんた…

ガリレオの指 現代科学を動かす10大理論

ガリレオの指 現代科学を動かす10大理論 ピーター・アトキンス 斉藤 隆央訳、早川書房 2004年 2800円 本書の扉には、ガリレオの本物の指の写真があります。遺体から切り取られ現在 フィレンツェの科学史博物館に展示されているというその指は、科学研究が新…

水晶内制度

水晶内制度 笙野頼子 新潮社 2003年 1700円 『原発を国家の中枢として、日本政府に黙殺された女達の、闇から生まれた女人国ウラミズモ。亡命作家は新国家のために出雲神話を書き変える』 今まで読んだ笙野作品は何だったのでしょうか。この強烈な物語は、女…

カルカッタ染色体

カルカッタ染色体 アミタヴ・ゴーシュ 伊藤真訳 DHC 2003年 1800円 「新刊を読みたい」という衝動がたまにやってきます。クレストブックスの最新刊アミタヴ・ゴーシュの「ガラスの宮殿」を探しに図書館に行きましたが未入荷のようで、「カルカッタ染色体」を…

ブランディングズ城の夏の稲妻

ブランディングズ城の夏の稲妻 P.G.ウッドハウス 森村 たまき訳 国書刊行会2007年 2200円 去年のお正月にまとめて読んだジーヴスシリーズのウッドハウスには、ブランディングズ城シリーズがあって『ゆっくりした脳内にはブタとバラのことしかない、第9代エ…

ケンブリッジ・クインテット

ケンブリッジ・クインテット ジョン・L. キャスティ 藤原正彦・美子訳 新潮クレストブックス 1998年 1900円 「素数の音楽」に味をしめて、新潮クレストブックスのノンフィクションを探していて、それらしい本を図書館で見つけたものの、この本はフィクション…

アルネの遺品

アルネの遺品 ジークフリート・レンツ 松永美穂訳 新潮クレストブックス 2003年 1700円 「両親はぼくに、アルネの遺品を箱に詰めてくれないかと頼んだ。」 ハンスは、12歳のときにこの家に引き取られてきたアルネの遺品を整理しながら、一家心中のたった一…

笙野頼子三冠小説集

笙野頼子三冠小説集 笙野頼子 河出文庫 2007年 680円 1994年 『タイムスリップ・コンビナート』 第111回芥川賞。 1994年 『二百回忌』 第7回三島由紀夫賞。 1991年 『なにもしてない』 第13回野間文芸新人賞。 この三つを詰め込んだ三色特盛弁当みたいな文庫…

七人のおば

七人のおば パット・マガー 大村美根子訳 創元推理文庫 1986年 800円 結婚し渡英したサリーの許へ届いた友人の手紙で、おばが夫を毒殺して自殺したことを知らされた。が、彼女にはおばが七人いるのに、肝心の名前が書いてなかった。サリーと夫のピーターは、…

記憶は嘘をつく

記憶は嘘をつく ジョン・コートル 石山 鈴子訳 講談社 1997年 記憶や記憶喪失は、小説や映像作品の大きなテーマです。記憶に関する面白い本を探していましたが、大半は記憶術に関する本ですし、脳科学関連もちょっと違う。その中で見つけたのがこの本です。1…

言の葉の樹

言の葉の樹 アーシュラ・K・ル=グィン 小尾芙佐訳 ハヤカワ文庫SF 2002年 700円 ハイニッシュ・ユニバースの長編(最近刊)です。 遥かな昔、高度の文明を持った惑星ハインの人々は、銀河宇宙に進出しさまざまな惑星に植民地を形成しました。しかし、惑…

ロカノンの世界

ロカノンの世界 アーシュラ・K・ル=グィン 小尾芙佐訳 ハヤカワ文庫SF 1989年 380円 1966年に書かれたハイニッシュ・ユニバーズシリーズの初長編、正統派古典的SFファンタジーです。それも萩尾望都の表紙ではないですか! 民俗学者G・ロカノンは、銀…

素数の音楽

素数の音楽 マーカス・デュ・ソートイ 冨永 星訳 新潮クレストブックス 2005年 2400円 クレストブックスには珍しくノンフィクションでした。それも数学の数論史なのに、この分野に深い理解をもつ著者だからこそなのでしょう、非常に面白い本でした。 1900年…

イグアナの娘

イグアナの娘 萩尾望都 小学館文庫 2000年 500円 老眼鏡の度数が合わなくなってきたらしく、長時間の読書が辛くなり、ポッドキャストで落語や朗読を聞いています。耳から聞くには落語がいいですね。文芸作品の朗読を聞くと、聞くことに慣れていないためか、…

うーえ

う アンヌ・ヴァリション 色―世界の染料・顔料・画材 コニー・ウィリス 最後のウィネベーゴ マーブル・アーチの風 スペンサー・ウェルズ 旅する遺伝子 ジュール・ヴェルヌ グラント船長の子供たち 神秘の島 地軸変更計画 氷のスフィンクス ケネス・マクファ…

お ポール・オースター 幻影の書 大場秀章 日本の帰化植物図譜 岡嶋二人 焦茶色のパステル なんでも屋大蔵でございます クラインの壷 岡田淳 扉のむこうの物語 岡野 宏文, 豊崎 由美 百年の誤読 百年の誤読 海外文学編 小川高義 翻訳の秘密 小川洋子 妊娠カ…

かーき

か 甲斐憲次 黄砂の科学 海堂尊 死因不明社会 Aiが拓く新しい医療 アンナ・カヴァン 氷 ユリウス・カエサル ガリア戦記 キアラン・カーソン 琥珀捕り シャムロック・ティー L・カッソン 図書館の誕生 古代オリエントからローマへ 加藤耕一 「幽霊屋敷」の文…

くーこ

く 工藤美代子 寂しい声 西脇順三郎の生涯 スティーヴン・ジェイ・グールド フルハウス 生命の全容 フリードリヒ・グラウザー 老魔法使い クロック商会 狂気の王国 倉阪鬼一郎 三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人 ギュンター・グラス 蟹の横歩き ヴィルヘルム・グ…

く-こ

く Google Earthでみる地球の歴史 後藤和久 空洞地球 ルーディ・ラッカー 草の記憶 椎名誠 草祭 恒川光太郎 下りの船 佐藤哲也 首無の如き祟るもの 三津田信三 熊の敷石 堀江敏幸 クマムシ?! 小さな怪物 鈴木忠 クマムシを飼うには 鈴木忠 森山和道 クライン…

さ 最悪 奥田英朗 サイエンス言誤学 清水義範 最後のウィネベーゴ コニー・ウィリス 最後の場所で チャンネ・リー 最終目的地 ピーター・キャメロン ザ・インタープリター ディヴィット・ジェイコブズ サウスバウンド 奥田英朗 桜庭一樹読書日記 桜庭一樹 サ…

し 幸せな秋の野原 エリザベス・ボウエン 死因不明社会 Aiが拓く新しい医療 海堂尊 塩一トンの読書 須賀敦子 CO2と温暖化の正体 ウォレス・S・ブロッカー、ロバート・クンジグ 時間とは何か 池内了 死刑判決 スコット・ トゥロー 史上最悪のインフルエンザ …

東京妖怪浮遊

東京妖怪浮遊 笙野頼子 岩波書店 1998年 1500円 江戸の化物の次は、東京の妖怪かと安易な連想で読み始めた本です。「小説のストラテジー」で作例として取り上げられていた「水晶内制度」に興味を持ったものの唐突に読み始められず、まずは身辺雑記のようなも…

アヒルと鴨のコインロッカー

アヒルと鴨のコインロッカー 伊坂幸太郎 創元推理文庫 2006年(2003年) 648円 現在の語り手は僕「椎名」。地方大学に通うため一人暮らしを始めたばかりに出会った黒ずくめの青年「河崎」に誘われて本屋襲撃を決行した。謎めいた河崎の言動に振り回され、わ…

ももんがあ対見越入道 江戸の化物たち

ももんがあ対見越入道 江戸の化物たち アダム・カバット 講談社 2006年 1600円 何か面白い本はないかと、出版社のHPめぐりをしていて見つけた本です。”外国人の見た日本”というテーマで探書していたのですが、この本は見当違いでした。著者はNY生まれ、…

オルシニア国物語

オルシニア国物語 アーシュラ・K・ル=グィン 峰岸久訳 早川文庫SF 1988年 500円 あとがきによれば、「オルシニア国物語」が出版されたのは1976年ですが、書いたのはル=グィンが執筆活動を始めて間もない頃だそうで、彼女の原点ともいえる物語です。11の短…