壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

帝都一の下宿屋   三木笙子

帝都一の下宿屋 三木笙子 東京創元社 Kindle unlimited 初めての作家の見知らぬ本でしたが、表紙の雰囲気がいいので、読み放題でゲット。 明治時代後期なのだろうか、京橋川沿いの下宿屋〈静修館〉の大家は、年若いのに料理上手で世話好きの梨木桃介だ。桃介…

死体は笑みを招く   ネレ・ノイハウス

死体は笑みを招く ネレ・ノイハウス 酒寄進一訳 創元推理文庫 オリヴァー&ピア・シリーズの二作目。動物園で見つかった切断死体。被害者は高校教師で過激な環境活動家。彼は周囲の大人たちには疎まれていましたが、若者には人気がありました。相変わらず、…

エリザベスの友達  村田喜代子

エリザベスの友達 村田喜代子 新潮文庫 電子書籍 『蕨野行』が衝撃的でしたので、同作家の高齢者小説をもう一冊、続けて読みました。『蕨野行』とはうって変わって、老人ホームに暮らす現代の認知症の老人たちを描いた、ごく普通の小説ですが、やはり感動的…

蕨野行  村田喜代子

蕨野行 村田喜代子 文春文庫 電子書籍 読み終えて呆然とするほどのインパクトがありました。こういうすぐれた作品が電子書籍で読めるようになって、ありがたいことです。姥捨(棄老)伝承を題材にしていますが、倫理的に善悪を問うようなものではありません…

浮世女房洒落日記  木内昇

浮世女房洒落日記 木内昇 中公文庫 電子書籍 江戸の小間物屋のおかみさんが綴ったという日記を通して、庶民の生活が描かれています。四季折々の風物、行事しきたり、祭りなど、貧しいけれど楽しそうな長屋の暮らし。子育ての悩み、亭主への愚痴、近所の付き…

嘘と正典  小川哲

嘘と正典 小川哲 ハヤカワ文庫JA 電子書籍 作者の直木賞受賞作『地図と拳』が面白そうだけれど、まだ高いので、半額になっていた短編集を読んだ。いくつかはSF風ではあるが、それにとどまらない、バラエティのある六つの短編。父との関係を描いた家族小説と…

悪女は自殺しない  ネレ・ノイハウス

悪女は自殺しない ネレ・ノイハウス 酒寄進一訳 創元推理文庫 刑事オリヴァー&ピア・シリーズの第一作。気になっていたドイツミステリですが、読む順番が分からず手を出せないでいた9冊のシリーズでした。日本では第三作『深い疵』から翻訳出版されたために…

老ヴォールの惑星  小川一水

老ヴォールの惑星 小川一水 早川書房 Kindle unlimited 読み放題につられて初読みの作家のSFを読みました。ハードSFなのにわかりやすくて面白く、深みもありました。「ギャルナフカの迷宮」「老ヴォールの惑星」「幸せになる箱庭」「漂った男」の4編です。中…

少年/単独飛行  ロアルド・ダール

少年/単独飛行 ロアルド・ダール 永井淳 訳 早川書房 電子書籍 ロアルド・ダールの自伝を二冊。『少年』は長い間本棚にあったのだが、蔵書処分で手放している。『単独飛行』は未読だった。電子書籍がお手頃価格になっていたので、懐かしさで二冊とも手に入…

海洋プラスチック汚染  中嶋 亮太

海洋プラスチック汚染 中嶋 亮太 岩波科学ライブラリー Kindle unlimited プラスチックによる海洋汚染の問題については、断片的な知識しかなかった。深刻な環境問題だとは聞いていたが、その問題点と解決策について、改めて考えさせられた。著者はJAMSTECの…

キュレーターの殺人  M・W・クレイヴン

キュレーターの殺人 M・W・クレイヴン 東野 さやか訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 『ストーンサークルの殺人』『ブラックサマーの殺人』に続く三作目。二本の指が切断された事件が連続三件、前半は犯人の意図も何も分からず、右往左往してどこへ行くのか予想が…

歌うカタツムリ 千葉聡

歌うカタツムリ 進化とらせんの物語 千葉聡 岩波科学ライブラリー262 Kindle unlimited カタツムリを題材にした進化生物学の歴史がテーマですが,不思議なカタツムリの生態,進化学を推し進めてきた研究者たちの歴史という視点でまとめられた,面白い本です…

星の子  今村夏子

星の子 今村夏子 朝日文庫 Kindle unlimited ドーキンスの若い人向けの啓蒙書『神のいない世界の歩き方』で気になっていた宗教二世の問題。今村作品三冊目『星の子』は,両親が怪しげな宗教にはまってしまった女の子の物語です。語り手は終始この女の子,現…