2009-12-01から1ヶ月間の記事一覧
江戸切絵図貼交屏風 辻邦生 文藝春秋 1992年 1600円 元旗本の絵師歌川貞芳が美人画の像主(モデル)に選んだ女たちは皆、どこか翳りがある武家の出だった。女たちの内に秘めた想いを手繰り寄せるうちに、幕藩体制の矛盾が生み出す藩の内部抗争の犠牲となった…
パイド・パイパー 自由への越境 ネビル・シュート池央 訳 創元推理文庫 2002年 700円 『渚にて』が良かったので、もう一つネビル・シュートの作品を読みました。映画にもなっているそうです。古き良き英国の冒険小説ですが、主人公たちはは老人と子供。活劇…
プリーモ・レーヴィは語る―言葉・記憶・希望 プリーモ・レーヴィ マルコ・ベルポリーティ編 多木陽介訳 青土社 2002年 2400円 本書は1960年代初めから亡くなる前の年1986年までの対談が数多く集められています。レーヴィにとって語ることは書くことと同じく…
一応の推定 広川純 文春文庫 2009年 570円 JR膳所駅で轢死した老人。彼には心臓を患う幼い孫娘がいた。死の三ヶ月前に加入していた傷害保険の支払いを巡り保険会社から調査を依頼されたベテラン調査員・村越の執念の調査が始まる。果たして老人の死は事故…
三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人 倉阪鬼一郎 講談社ノベルス 2009年 800円 ごめんなさい。以下、超ネタバレです。未読の方は要注意です。 読書予定の方(少ないとは思いますが)は見ないでくださいね。 バカな事をしてしまいました。後できっと後悔すると思い…
儚い羊たちの祝宴 米澤 穂信 新潮社 2008年 1400円 青春ミステリはもう無理。だけど本書や「遠回りする雛」など心惹かれる題名で以前から気にはなっていました。ほんの少しのホラーとブラックユーモアがいいですね。 「ラスト一行の衝撃」に徹底的に拘った連…
渚にて ネヴィル・シュート 佐藤龍雄訳 創元SF文庫 2009年 1000円 「人類の終焉」というのはSFの主要なテーマ。現在の流行は「気候変動」なのかと思っていたら、「惑星直列」なんていうのがリバイバルしています。「新人類の誕生(進化)」「地球外生命体の…
CO2と温暖化の正体 ウォレス・S・ブロッカー、ロバート・クンジグ 内田昌男監訳 東郷えりか訳 河出書房新社 2009年 2400円 地球温暖化関連本は数多くあるけれど、面白く読めてその上偏っていない本は少ない。偏りと面白さは一体となっていることが多いからだ…
見えない都市 イタロ・カルヴィーノ 米川良夫訳 河出書房新社 世界文学全集II-06 2009年 2400円 これはまさに「都市の博物誌」というべきものなのでございましょうか。海上より近づけば砂漠のオアシスのように見え陸路にて近づけば駱駝乗りたちには港町のよ…
数式に憑かれたインドの数学者(上・下) デイヴィッド・レヴィッド 柴田裕之訳 日経BP社 2009年 各1600円 図書館の新着コーナーで見つけた本です。『素数の音楽』に出てきたインドの数学者ラマヌジャンについては興味がありました。上巻に「ラマヌジャンの…
あまりに騒がしい孤独 ボフミル・フラバル 石川達夫訳 東欧の想像力2 松籟社 2007年 1600円 低調な読書生活を打破しようと、県立美術館に行ったついでに隣にある県立図書館(めったにいかない)で借りてきました。以前に須賀敦子さんの書評にあった『東欧怪…
名犬ラッド A・P ターヒューン 岩田欣三訳 岩波少年少女文学全集15 1961年 380円 前回読んだ本『犬の帝国』に戦後TV放送された「名犬ラッシー」(1957年より放送)も話題に出てきて懐かしかったので、たぶん同じ頃に読んだ『名犬ラッド』を再読しました。 …
犬の帝国 アーロン・スキャブランド 幕末ニッポンから現代まで 本橋哲也訳 岩波書店 2009年 3200円 新着コーナーで見つけた本です。『王を殺した豚 王が愛した象』で興味を持った「歴史の中で動物がどんな役割を演じ(させられ)てきたか」というテーマに沿…