壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ザボンの花 庄野潤三

ザボンの花 庄野潤三 みすず書房 <大人の本棚> 2006年 2600円 1956年に書かれた庄野潤三の小説です。芥川賞受賞後すぐ新聞に連載されていたものだそうです。最近復刊されていていつか読もうとは思っていました。一時的に気力が落ちたせいか、若い人の書い…

死神の精度 伊坂幸太郎

死神の精度 伊坂幸太郎 文春文庫 2008年 550円 今までに読んだ伊坂作品(「陽気なギャング」と「アヒルと鴨」)は面白かったけれど、予約してまでは・・・という感じです。ただ、もらい物が何冊か積んであります。 「死神を語り手にした物語」とは言っても、…

危険な世界史 中野京子

危険な世界史 中野京子 角川書店 2008年 1500円 「怖い絵」が面白かった中野京子さんの「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」は図書館の予約がいっぱいでした。「怖い絵2」と共に、三冊ほぼ同時に出版された本書にはまったく気が付かなかったのですが、…

不連続の世界 恩田陸

不連続の世界 恩田陸 幻冬舎 2008年 1600円 音楽プロデューサー塚崎多聞をめぐる5つの短編。塚崎多聞は「月の裏側」の登場人物ということです。「月の裏側」については、丈夫なゴム長靴を欲しくなったこと以外ほとんど覚えていません。 二十代後半の多聞が都…

戦争の悲しみ バオ・ニン

戦争の悲しみ バオ・ニン 近藤直子訳 河出書房新社 世界文学全集I-06 2008年 2800円 残雪のついでに読みましたが、「ついで」なんて言ったら申し訳ない、とてもいい作品でした。1952年生まれのバオ・ニンは元ヴェトナム人民軍兵士。本書は1990年に書かれ、英…

暗夜 残雪

暗夜 残雪 近藤直子訳 河出書房新社 世界文学全集I-06 2008年 2800円 「廊下に植えた林檎の木」、「黄泥街」と読んできた残雪です。心惹かれるのですが、わけがわからないうちに読み終えてしまい戸惑います。 七編の短編中、後半の翻訳が単行本初収録だとい…

記憶に残っていること 堀江敏幸編

記憶に残っていること 堀江敏幸編 新潮クレストブックス短編小説ベスト、コレクション 2008年 1900円 マンローの初訳かと、勘違いと思い込みで借りてきました。10篇のうち半分が既読だったことに気が付いて、はじめはがっかりでしたが、再読できて良かったと…

江戸に和む 根本裕子

江戸に和む 根本裕子 文芸社 2005年 1400円 実物を見ることができなくても、というより実物を見ることができないからこそ、様々な動物や植物の話を読むのが好きです。遠い外国の珍奇な生物も、現代日本の実在の生物も面白いですが、このところ興味があるのは…

地図もウソをつく 竹内正浩

地図もウソをつく 竹内正浩 文春新書 2008年 750円 実際に行くことができなくても、本を読みながら地図を眺めるのが私の楽しみです。最近はネット上の地図ばかりを便利に利用しています。Google mapやearthの威力はたいしたものです。一方、地図専門の書店が…

ある家族の会話 ナタリア・ギンズブルグ

ある家族の会話 ナタリア・ギンズブルグ 須賀敦子訳 白水社 1992年 2400円 プリーモ・レーヴィの作品を読んでいて、以前に須賀敦子さんによって紹介されていた本を思い出しました。 家族にだけ通じるような特別な言葉使いや出来事、そういう共有体験は家族が…

追憶のハルマゲドン カート・ヴォネガット

追憶のハルマゲドン カート・ヴォネガット 浅倉久志訳 早川書房 2008年 2000円 未発表の短編集です。第二次大戦を材にとったものが多くて、戦後にお蔵入りになった作品もあるとか。長編とはだいぶ雰囲気が違います。ヴォネガットの長編はとらえどころがなく…

神の狩人 2031探偵物語 柴田よしき

神の狩人 2031探偵物語 柴田よしき 文芸春秋 2008年 1450円 先日、図書館の新刊コーナーにライブラリアンが本を並べているところに初めて遭遇し、いつもは借りられそうもない本を借りてみました。 作家さんの名前は聞いたことがあるけれど、行き当りばったり…

世界のキルト文化図鑑 キャロライン・クラブトゥリー, クリスティーン・ショー

世界のキルト文化図鑑 キャロライン・クラブトゥリー, クリスティーン・ショー 福井正子訳 柊風舎 2008年 15000円 こういう高価な大型本は図書館で借りるに限ります。もちろん文庫本だって借りますけど。最近まとまった本を読めなくて、パラパラとこんな本を…

天使の蝶 プリーモ・レーヴィ

天使の蝶 プリーモ・レーヴィ 関口英子訳 光文社古典新訳文庫 2008年 760円 アウシュビッツを生き延びたプリーモ・レーヴィの著作のうち、邦訳されているのは自伝「周期律」や体験記「アウシュヴィッツは終わらない」などばかりで,創作は一点のみでした。本…

妖怪画本・狂歌百物語

妖怪画本・狂歌百物語 京極夏彦 多田克己編 国書刊行会 2008年 3990円 京極夏彦の本かと勘違いして借りたのですが、江戸時代の古書である『狂歌百物語』(天明老人編・竜斎閑人正澄画)を収録した本に京極さんが巻頭文を寄せているものでした。嘉永六年(185…

パワー 西のはての年代記Ⅲ アーシュラ・K・ル=グウィン

パワー 西のはての年代記Ⅲ アーシュラ・K・ル=グウィン 谷垣暁美訳 岩波書店 2008年 2100円 西のはての年代記(三部作):「ギフト」と「ヴォイス」に続く最終巻。前の二巻よりかなり厚いです。 西のはてにある都市国家の一つ、エトラに住む少年ガヴィアはア…

海底密室 三雲岳斗

海底密室 三雲岳斗 徳間デュアル文庫 2000年 762円 深海4000メートルにある実験施設での事件ということで、いちおう前の記事とは『深海つながり』です。 「M.G.H 楽園の鏡像」のシリーズということになるのでしょうか。鷲見崎(すみざき)という変わった苗字…