壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

2009-01-01から1年間の記事一覧

浮かれ黄蝶 御宿かわせみ34 平岩弓枝

浮かれ黄蝶 御宿かわせみ34 平岩弓枝 文春文庫 2009年 550円 江戸を舞台にした最後の「かわせみ」。第一巻から文庫本を購入するのが習慣になっているシリーズです。連載雑誌から一年少しで単行本が出て、さらに何年もたって文庫化されるので待ち遠しい思いで…

通訳ダニエル・シュタイン(上・下) リュドミラ・ウリツカヤ

通訳ダニエル・シュタイン(上・下)リュドミラ・ウリツカヤ 前田和泉訳 新潮クレストブックス 2009年 2000円・2200円 『ソーネチカ』 『それぞれの少女時代』と読んできたウリツカヤの最新翻訳です。一ヶ月遅れで出版された下巻が待ち遠しかったこと。 ポー…

ふたりのイーダ 松谷みよ子

ふたりのイーダ 松谷みよ子 講談社 2006年 1470円 子供たちに戦争を語り伝える「直樹とゆう子の物語」シリーズの第一作。1965年に書かれていますが、最近新装版が出ました。 広島県の祖父母の家に預けられた直樹とゆう子。直樹は古びた洋館にコトリコトリと…

くらのかみ 小野不由美

くらのかみ 小野不由美 講談社ミステリーランド 2003年 2100円 「ミステリーランドシリーズ」の二冊目は、小野不由美。(表紙は村上勉)。 のろいによって子供が育たないという山奥の旧家で、相続問題が話し合われました。それに絡んで不可解な未遂事件が起…

素数たちの孤独 パオロ・ジョルダーノ

素数たちの孤独 パオロ・ジョルダーノ 飯田亮介訳 ハヤカワepiブックプラネット 2009年 1800円 数学に並外れた才能を持つ少年マッティアと、片足の不自由な少女アリーチェ。ふたりはそれぞれに幼い頃の心の傷を抱えたまま成長し、出会って惹かれあうようにな…

あ 愛のひだりがわ 筒井康隆 アイの物語 山本弘 アウシュヴィッツは終わらない―あるイタリア人生存者の考察 プリーモ・レーヴィ クレア・キーガン 青いガーネットの秘密 奥山康子 青の美術史 小林康夫 青の物語 マルグリット・ユルスナール 青の歴史 ミシェ…

い イエメンで鮭釣りを ポール・トーディ 生ける屍 ピーター・ディキンスン イグアナの娘, 萩尾望都 イコン 今野敏 イザベラ・バード旅の生涯 O・チェックランド 遺失物管理所 ジークフリート・レンツ イスタンブール 思い出とこの町 オルハン・パムク いず…

う-お

う ヴァイオリン マルク・パンシェルル ヴァイオリンは語る ジャック・ティボー ウースター家の掟 P.G.ウッドハウス ヴィラ・マグノリアの殺人 若竹七海 ヴェネツィア暮らし 矢島翠 ヴェネツィアの宿 須賀敦子 ウェブログの心理学 山下 清美, 川上 善郎 , …

名探偵の掟 東野圭吾

名探偵の掟 東野圭吾 講談社文庫 1999年 590円 名探偵天下一大五郎と語り手である大河原番三警部が小説世界より飛び出しては、作者と 読者にいちゃもんをつけるドタバタ・メタ・メタ・ミステリ。 安易に使われる密室や時刻表トリックをわらい、探偵の類型的…

レキシントンの幽霊 村上春樹

レキシントンの幽霊 村上春樹 文藝春秋 1996年 1200円 『回転木馬のデッド・ヒート』に続き、これも古めの短編集。長い間積読していたのに突然読みたくなりました。どれも面白かった。七編のうち『沈黙』と『七番目の男』は不思議風味がほとんどなく、ストレ…

回転木馬のデッド・ヒート 村上春樹

回転木馬のデッド・ヒート 村上春樹 講談社 1985年 1400円 かなり昔の短編集ですが、昨今の事情で増刷されたのか、図書館の新着図書棚で見つけました。 『はじめに・回転木馬のデッド・ヒート』納められている物語はすべて、人から聞いた話しを熟成させて文…

棄霊島(上・下) 内田康夫

棄霊島(上・下) 内田康夫 祥伝社 2008年 各890円 浅見光彦100番目の事件。 五島列島取材中に知り合った元刑事が御前崎で遺体となって発見された。三十年前、長崎県の軍艦島での変死事件と関係があるらしい。 百番目とあってか、事件の舞台は、愛知、新潟、…

悪魔の種子 内田康夫

悪魔の種子 内田康夫 幻冬舎 2005年 1700円 浅見光彦99番目の事件。(99ってすごいけど、きっと半分ぐらいは読んでます) 花粉症緩和米は遺伝子組み換え食品なのか医薬品なのか、そのビジネス化を巡って、秋田と茨城の二件の殺人が起きる。 西馬音内盆踊りの…

めぐりめぐる月 シャロン・クリーチ

めぐりめぐる月 シャロン・クリーチ もきかずこ訳 講談社ユースセレクション 1996年 1600円 アメリカの児童文学です。 祖父母とともに、オハイオからアイダホまで3000キロのアメリカ横断ドライブに出かけた、アメリカインデアンの血をひく13歳の少女サラマン…

それぞれの少女時代 リュドミラ・ウリツカヤ

それぞれの少女時代 リュドミラ・ウリツカヤ 沼野恭子訳 群像社 2006年 1800円 インターネットがつながらなかったり何やかやで、ずいぶん久しぶりの更新になりました。その間、突然のぎっくり腰で二、三日ほぼ寝たきり状態となり、おかげで本はたくさん読め…

ソーネチカ リュドミラ・ウリツカヤ

ソーネチカ リュドミラ・ウリツカヤ 沼野恭子訳 新潮クレストブックス 2002年 1600円 ロシア版「女の一生」。本が好きなソーネチカは、どこといって取り得がないようだけれど、どんな状況にあっても「なんてしあわせなんでしょう」と感じることのできる特別…

下りの船 佐藤哲也

下りの船 佐藤哲也 早川書房 想像力の文学 2009年 1600円 久しぶりに図書館の新刊本コーナーを漁っていて見つけた本。佐藤哲也氏の本は初めてです。「想像力の文学」というのと、冒頭の乾いた描写に惹かれました。 風が砂を追い立てる荒れ野の奥に、灰色の小…

ぼくが探偵だった夏 内田康夫

ぼくが探偵だった夏 内田康夫 講談社ミステリーランド 2009年 2200円 「永遠の青年」である浅見光彦の少年時代の事件。『記憶の中の殺人』も少年時代に遭遇した事件でしたが、それに比べて本書はいたって軽い少年探偵物でした。今回のマドンナは転校生の本島…

身もフタもない日本文学史  清水 義範

身もフタもない日本文学史 清水 義範 PHP新書 2009年 700円 日本人がエッセイを書く時、女は清少納言に、男は兼好になる。「枕草子」のように自らのセンスを誇り、「徒然草」のように世の中を叱って己を自慢するのだ。 ・・・という内容紹介を見かけて、エッ…

いずれは死ぬ身 柴田元幸編訳

いずれは死ぬ身 柴田元幸編訳 河出書房新社Modern & Classic 2009年 2200円 柴田さんのアンソロジー。「いずれは死ぬ身」という題名から連想されるものよりもずっと、ゆるいユーモアのあるものが多い。一つ一つはそれぞれに面白くても、バラエティーに富みす…

憑神 浅田次郎

憑神 浅田次郎 新潮文庫 2007年 515円 幕末のこと、貧乏御家人の次男が、苦しい時の神頼みで古い祠に手を合わせたところ、霊験あらたかなことに、なんと貧乏神、疫病神、死神が現れて、次々と取り憑かれる。どうにもならない運命に、それでも必死に生きよう…

春にして君を離れ アガサ・クリスティー

春にして君を離れ アガサ・クリスティー 中村妙子 早川書房クリスティー文庫81 2004年 600円 『スリーピング・マーダー』を読み、アガサ・クリスティーの面白さを再認識しました。クリスティー文庫100冊読破!・・・・なんていう気力は今のところ全くないの…

怖い絵3 中野京子

怖い絵3 中野京子 朝日新聞社 2009年 1800円 怖い絵怖い絵2に続く「怖い絵シリーズ」の完結編です。何の知識もなく絵を眺める喜びとは全く別の、刺激的な楽しみを味わえるのです。さらに軽妙な語り口もあって気軽に楽しめ、面白いシリーズなのですが、実は少…

日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか  内山節

日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか 内山節 講談社現代新書 2007年 720円 子供の頃、祖母はキツネに化かされる話をしてくれました。(四国出身の祖母はもっぱらタヌキ話でしたが。)そんなことを思い出して、読み始めた本です。 かつては、日本のキ…

やんごとなき読者 アラン・ベネット

やんごとなき読者 アラン・ベネット 市川恵里訳 白水社 2009年 1900円 「もしエリザベス女王が読書に夢中になったら・・」という、現実と架空を織り交ぜた、面白い英国のユーモア小説を読みました。 読書に関しては初心者である女王が、バッキンガム宮殿の庭…

流星の絆 東野圭吾

流星の絆 東野圭吾 講談社 2008年 1700円 読書があまりはかどらないので、貰い物の積読本の中から読みやすそうな本を選びました。図書館では未だに二、三百人待ちのベストセラーで、さすがに読みやすい。途中で止まらなくて、あっという間に読み終わってしま…

十二国記 華胥の幽夢 小野不由美

十二国記 華胥の幽夢 小野不由美 講談社X文庫ホワイトハート 2001年 650円 十二国記シリーズ初の短編集にして、現在最後の既刊文庫本。単行本未収録の短編はまだあるけれど、あーあ、とうとう最後まで読んでしまいました。惜しかったけれど、でも満足しまし…

スリーピング・マーダー アガサ・クリスティー

スリーピング・マーダー アガサ・クリスティー 綾川梓訳 早川書房クリスティー文庫46 2004年 680円 ミス・マープル最後の事件は未読でした。 結婚のためにニュージーランドから英国に渡ってきたグエンダは、新婚生活を送るためにビクトリア朝風の古めかしい…

黄昏の岸 暁の天 小野 不由美

十二国記 黄昏の岸 暁の天 小野 不由美 講談社X文庫ホワイトハート 2001年 各530円 『魔性の子』を十二国側から見た物語になっています。『風の海 迷宮の岸』で泰麒が泰王・驍宗を選び戴国に新王が立った後、王も麒麟も行方不明となって戴国が荒れているとい…

「幽霊屋敷」の文化史 加藤耕一

「幽霊屋敷」の文化史 加藤耕一 講談社現代新書 2009年 760円 「東京ディズニーランドのホーンテッド・マンションというのは、ヨーロッパの歴史が生み出した文化的結晶というべきもの」と語る筆者の思い入れの深さが感じられます。そこで使われているトリッ…