壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

それぞれの少女時代 リュドミラ・ウリツカヤ

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それぞれの少女時代 リュドミラ・ウリツカヤ
沼野恭子訳 群像社 2006年 1800円

インターネットがつながらなかったり何やかやで、ずいぶん久しぶりの更新になりました。その間、突然のぎっくり腰で二、三日ほぼ寝たきり状態となり、おかげで本はたくさん読めましたが、俄か一人暮らしの心細さをたっぷり味わいました(泣)。

やっと動けるようになりネット接続の設定も終わって復活できそうです。長くイスに坐っていることができないので、読み溜めた本を少しずつアップしていきます。またよろしくお願いします。

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『ソーネチカ』で知ったロシアの女性作家の作品。スターリン時代末期、騒然とした社会情勢の中でも、少女たちはあくまで少女らしく生き生きと暮らしています。同級生の女の子数人を主人公にした連作短編で、繊細且つ逞しい少女たちの物語は、なかなか魅力的でした。微妙な年頃の少女の心理と生理を扱った逸品です。

『他人の子』ガヤーネとヴィクトリアのふたごが生まれた経緯。気の毒な状況ではあるけれど、滑稽味があります。

『捨て子』ガヤーネを憎たらしいと思うヴィクトリアが仕掛けた手の込んだ意地悪。ヴィクトリアの想像力のすさまじさに驚きます。

『奇跡のような凄腕』9歳のころ、三年B組の五人の少女たちがピオネールの集会に出席。そこで知った両手のない女の、まさに凄腕とういうべき生き方。

『その年の三月二日・・・・・』ユダヤ人医師を祖父母に持つリーリャにとっては長い一日だった。(その年とは1953年スターリンが3月5日に死んだ年)

『風疹』アリョーナの父は外交官。瀟洒なアパートで開かれた子供だけの誕生会の顛末。

『かわいそうで幸せなターニカ』極貧に生まれたターニカは新任の女教師に憧れ、花を贈るために体で稼いだ。

リュドミラ・ウリツカヤは面白そうなので、クレストブックスの新刊『通訳ダニエル・シュタイン』も読む予定。