壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

やんごとなき読者 アラン・ベネット

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やんごとなき読者 アラン・ベネット
市川恵里訳 白水社 2009年 1900円

「もしエリザベス女王が読書に夢中になったら・・」という、現実と架空を織り交ぜた、面白い英国のユーモア小説を読みました。

読書に関しては初心者である女王が、バッキンガム宮殿の庭で移動図書館に出合い、宮殿の厨房で働く本好きの少年に導かれて、次はどんな本を読もうかと、だんだんに読書に夢中になっていく様子がなんとも楽しいのです。

そして、公務がおざなりになり、話題が文学のみに終止する様子に、周囲の人々は危惧し、女王の読書を阻止しようと、邪魔をし始めます。カナダ視察旅行に多量の本を持って行くはずだったのに、本を詰めた荷だけはまったく違う国に送られてしまい、あまりの手持ち無沙汰に、パーティーで出会ったカナダ人作家(短編小説で有名な、女王くらいの年齢の女性^^)に本を一冊おねだりしちゃったりするんです。

女王が読む本の内容についてもユーモアたっぷりで、つい笑ってしまいます。2時間ほどで読める短い物語ですが、とても楽しめました。