壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

スリーピング・マーダー アガサ・クリスティー

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スリーピング・マーダー アガサ・クリスティー
綾川梓訳 早川書房クリスティー文庫46 2004年 680円

ミス・マープル最後の事件は未読でした。

結婚のためにニュージーランドから英国に渡ってきたグエンダは、新婚生活を送るためにビクトリア朝風の古めかしい家を選んだ。ところがこの家に妙なデジャヴを覚える。そして芝居を見たことをきっかけに、家の中で人が殺されたという記憶を取り戻す。本当に殺人があったのだろうか?

『カーテン』は出版当時(1975年)に読みましたが、こちらはもったいないので取っておこうとして、三十年以上未読のまま、すっかり忘れていました。後で食べようと冷凍庫の奥に隠して忘れていたアイスクリームのように、食べられるけれどすごく新鮮というわけでもない。さっさと食べておけばよかったわ。

でもクリスティーは読みやすくてやっぱり面白い。グエンダがデジャヴを抱くあたりは、ぞっとするほど怖いし、真犯人が提示されるホンの少し前に、かなりのぼんくらな読者(私のこと)でも真犯人にたどり着くように仕掛けられているし、読み返してみるとそこここに手がかりが巧く隠されていて、感心してしまいます。