久しぶりに図書館の新刊本コーナーを漁っていて見つけた本。佐藤哲也氏の本は初めてです。「想像力の文学」というのと、冒頭の乾いた描写に惹かれました。
風が砂を追い立てる荒れ野の奥に、灰色の小屋を並べた村があった。ある時、住民のほとんどは兵士に追い立てられて巨大な移民船に積み込まれた。はるか遠い異星での暮らしはあまりにも過酷なものだった。飢え、貧困、強制労働、戦争・・・どんな宇宙の果てであろうと、人間の営みは続いていく。
断片的なたくさんの物語は決して読みやすいものではないけれど、風の村出身のアヴという少年の物語が唯一続いていくこと、硬質の語り口の不思議な魅力につられて、なんとか最後まで読み終えました。