壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

めぐりめぐる月 シャロン・クリーチ

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めぐりめぐる月 シャロン・クリーチ
もきかずこ訳 講談社ユースセレクション 1996年 1600円

アメリカの児童文学です。

祖父母とともに、オハイオからアイダホまで3000キロのアメリカ横断ドライブに出かけた、アメリカインデアンの血をひく13歳の少女サラマンカ。家を出たまま帰らない母親を連れ戻しにいく旅でした。

サラマンカは旅の間に祖父母に親友フィービーとその母親をめぐる事件を語りますが、語るにつれて、フィービーの物語はサラマンカ自身の物語でもあることに気が付き、家を出た母親についても自分自身についても新しい視点を得ることになります。

友人フィービーについて話すうちに、フィービーやその母親の気持ちに気が付き、それぞれの立場を理解できるようになるサラマンカ。一緒に旅をしている祖父母の、能天気といえるくらいおおらかな愛情。どれも素敵でした。

児童書にしては長い物語ですが、サラマンカの母親の行方もフィービーの母親の行方もなかなか明らかにされないというミステリアスな語り口なので、結末が知りたくて最後まで読まずにいられないでしょう。

フィービー家に届く謎の手紙に記されていた言葉『悲しみの小鳥を頭上から追いはらうことはできない。だが、頭上に巣づくりさせないでおくことはできる』が印象的でした。私の頭上にできかけた巣を壊しましょう・・・・。