『魔性の子』を十二国側から見た物語になっています。『風の海 迷宮の岸』で泰麒が泰王・驍宗を選び戴国に新王が立った後、王も麒麟も行方不明となって戴国が荒れているという噂は耳にしていたけれど、かなり大変なことになっているようです。
謀反の首謀者阿選が権力を握り国は荒れ果て、将軍も罪人として追われ陽子を頼って慶国に逃げ込んできました。兵力を率いて他国に入る事は「覿面の罪」という大罪にあたるとかで、戴国を助けるためにはまず泰麒を探さなければならない。そのために十二国では初めての国際協力?がおこなわれました。
各国の王と麒麟はそれぞれに個性的で、コミカル(というよりコミック的ですが)な描写が楽しいですが、十二国という世界のありように対して、李斎や陽子が深い疑問を持つあたりはなかなか読ませます。「人は自らを救うしかない、ということなんだ」という陽子は、ずいぶんと成長しました。頼もしい王となることでしょう。
蓬莱からボロボロになっていた泰麒(高里要)を連れ帰ったものの、復興の道のりが容易でないことは明らかで、この先、戴国がどうなるのか、とても気になります。
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現実からちょっと離れたい時にはファンタジーが最適。『十二国記』シリーズもあと少しとなり、名残惜しいのでちびちび読よむつもりでしたが、読み始めるとすっかり夢中になってのめりこんでしまい、 お鍋を二つ焦がしました。一人暮らしになって一人前の料理を作るのが面倒くさく、たくさん作り置きをしようと豆と芋を煮たのに、とっても残念な結果に終わりました。