壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか  内山節

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日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか  内山節
講談社現代新書 2007年 720円

子供の頃、祖母はキツネに化かされる話をしてくれました。(四国出身の祖母はもっぱらタヌキ話でしたが。)そんなことを思い出して、読み始めた本です。

かつては、日本のキツネが暮らしている地域では、人がキツネにだまされたという話は日常のごくありふれたもののひとつだった。それも、そんなに昔の話ではない。キツネに悪さをされた。キツネに化かされた。そういった話は、いまから五十年くらい前の二十世紀半ばまでは、特にめずらしいものではなかった。…ところが一九六五年頃を境にして、日本の社会からキツネにだまされたという話が発生しなくなってしまうのである。一体どうして。本書の関心はここからはじまる。そのことをとおして、歴史学ではなく、歴史哲学とは何かを考えてみようというのが、本書の試みである。 (表紙裏の紹介)

日本の近代化に伴って日本人の精神文化がどう変ってきたのかというような思索の視点が、社会学のような統計分析的な考え方とは異なっていて、面白いものでした。また、著者の住む群馬県上野村周辺の昔話や旧習などの具体例も楽しめました。