壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

2006-01-01から1年間の記事一覧

日本のルイセンコ論争

日本のルイセンコ論争 中村禎里 みすず書房 1997年(原著は1967年) 2200円 ルイセンコ学説の興亡 個人崇拝と生物学 メドヴェジェフ 金光不二夫訳 1971年 河出書房新社 950円 日本のルイセンコ論争を読む前に、「ルイセンコ学説の興亡」を読み返しました。著…

きわどい科学

きわどい科学 ウソとマコトの境域を探る At the fringes of science マイケル・W・フリードランダー 白揚社 1997 田中 嘉津夫 久保田 裕 訳 疑似科学と正統科学の間のグレーゾーンにある境界について、かなり新しい例も挙がっています。 常温核融合はまだ記…

奇妙な論理Ⅰだまされやすさの研究

奇妙な論理Ⅰだまされやすさの研究 640円 1989年奇妙な論理Ⅱ空飛ぶ円盤からユリ・ゲラーまで 600円 1992年マーティン・ガードナー 市場泰男訳 社会思想社 教養文庫奇妙な論理Ⅰは、「In the Name of Science」の抄訳(全25章のうち11章を訳出)で、1980年に社…

銀齢の果て

銀齢の果て 筒井康隆 新潮社 2006年 1500円 筒井康隆の最新刊だそうです。元ファンとして読みました。老人人口を減少させる厚生労働省推進のご町内70歳以上老人によるバトル・ロイヤルです。作者自身が70歳であるための天下御免の殺戮場面は、相変わらずのス…

インチキ科学の解読法

インチキ科学の解読法 ついつい信じてしまうトンデモ学説 Did Adam and Eve have navels?の抄訳 原書は2000年 マーティン・ガードナー 光文社1700円 太田次郎 監訳 2004年 ”アメリカといえば、世界最先端の科学・技術の国というイメージがある。だが、現実に…

スキャンダルの科学史 他一冊

スキャンダルの科学史 朝日新聞社 1997年 1339円 科学朝日編 何故か、擬似科学、似非科学、トンデモ、の現在を知りたくなりました。 以前「思い違いの科学史」を読みましたが、同様の内容です。パート2として、国外にも題材を求めた「科学史の事件簿」がある…

死刑判決

死刑判決 reversible error スコット トゥロー 佐藤耕士訳 講談社文庫 (上下)各1143円 (高い!) 図書館で借りてずっと読めず、また借りてきました。トゥローの例によって例のお話で、前半やや冗長ですが後半は意外で急な展開です。 “死刑判決に対す…

愛のひだりがわ 他二冊

愛のひだりがわ 筒井康隆 新潮文庫 552円 久しぶりに書店で本を買いました。ジュブナイルで、あっという間に読めてしまうのですが、相変わらず上手です。すぐに映像化されるんでしょうね。 わたしのグランパ 筒井康隆 文芸春秋 952円 未読だったので、今回読…

疫病と世界史 続き

マクニールの疫病と世界史のメモの続きです。5000字を超えてしまいましたので。 第5章 大洋を越えての疾病交換 紀元1500年から1700年まで 新世界が旧世界に如何に侵略されていったのか。新世界では生物学的多様性は低かっただろう。メキシコやインカで…

旅のラゴス

旅のラゴス 筒井康隆 徳間書店 1986年 980円 ゲド戦記つながりで突然読みたくなり、物置から出してきました。 中学生の頃、SFマガジンで読んだときからの筒井ファンで、筒井作品は、20世紀までの出版物は(再収録を除いて)ほとんど物置にあります。寡作なの…

再び ゲド戦記

アニメのゲド戦記の行方が気になっていました。 映画を見てきたという娘が電話してきました。やはり、ゲド戦記ではなかったようです。映画館で見るつもりのない私としては、ネタバレOKでストーリーまで聞きました。別の話のようです。いかだ族が出てこなかっ…

疫病と世界史

疫病と世界史 W H マクニール 1976 Plagues and Peoples by William H McNeill 佐々木昭夫 訳 新潮社 1985 この分野の本で新しいものは、「銃・病原菌・鉄―1万3000年にわたる人類史の謎」 ジャレド ダイアモンド著でしょうが、「疫病と世界史」は、この分…

文明の環境史観

文明の環境史観 安田 喜憲 中公叢書 2004年 文明の生態史観によく似た名前の本が、あったので読んでみました。環境考古学関係の人でした。 ”環境考古学の観点から、自然変動に起因する民族移動と文明史の関係、小氷期の気候悪化が西欧・日本の近世期に与えた…

モゴール族探検紀

モゴール族探検紀 梅棹忠夫 岩波新書(青版) 前回 梅棹さんの生態史観を呼んでいたら突然思い出して、どうしても再読したくなりました。 アフガニスタンの奥地にいるらしいモンゴル帝国の末裔を探す旅。今ほどには危険ではないでしょうが、それでも、多民族…

文明の生態史観

文明の生態史観 梅棹忠夫 中公文庫 1950年代に書かれたこの本は、文庫になって版を重ねています。新書版の方が読みやすいので、中公クラシックスの方を読みました。 唯物史観のような一系統の発展でなく、別の視点をもつ生態史観(生態学的歴史観)を持つに…

立証責任 他二冊

立証責任 スコット トゥロー Scott Turow 上田 公子 訳 文芸春秋 1993年 有罪答弁 上田公子訳 文芸春秋 1995年 われらが父たちの掟(The Laws of Our Fathers) 二宮薫訳 文芸春秋 1997年 図書館で借りたのは、スコット・トゥロー(Scott Turow)の本です。…

ヨーロッパ帝国主義の謎

ヨーロッパ帝国主義の謎 エコロジーから見た10~20世紀 Ecological Imperialism The Biological Expansion of Europe, 900-1900 アルフレッド・W・クロスビー Alfred W. Crosby 1986年 佐々木昭夫 訳 岩波書店 1998年 3800円 「史上最悪のインフルエンザ」を…

殺人課刑事

殺人課刑事 アーサー・ヘイリー 1997年 永井淳 訳 新潮社 1998年 ヘイリー70歳の最後の作品です。2004年に亡くなっています。寡作だったのでしょう。10作品ほどしか翻訳されていません。多分全部読みました。この最後の「殺人課刑事」だけが未読でした。 例…

オクシタニア

オクシタニア 佐藤賢一 集英社 2003年 ヨーロッパ中世史どころか、世界史音痴にとっては、なかなか読みにくい本でした。だいたい、十字軍がイスラム以外の、キリスト教異端派にも向けられていたなんて全く知りませんでした。 わが家の最大の積読は中央公論社…

30冊の宝物

30冊の宝物 「岩波少年少女文学全集」の思い出 2005年 須田純一著 雲母書房 前にネットで見つけた本を借りてきました。http://blogs.yahoo.co.jp/rtpcrrtpcr/14487355.html やはり、昔読んだのとおなじ全集でした。読んでいて、昔のことをいろいろ思い出だし…

八百八町捕物控

時代小説の楽しみ4 八百八町捕物控 岡本綺堂他 新潮社 1990年 図書館で時代小説を探していて見つけました。全七巻のうち、捕物帖のアンソロジーで、有名なところが一編ずつ入っています。1990年という古い本ですから、宮部みゆきは入っていませんが…

最悪

最悪 奥田英朗 講談社文庫 2002年 876円 たまたま手に入れた本ですが、犯罪小説という分野だそうです。三人の平凡な人生が犯罪をめぐって交錯し、結末になだれ込んでいく。この形式のもっと大掛かりなものは「グランド・ホテル形式」と言うのではなかったで…

夏の災厄

夏の災厄 1995年 篠田節子 毎日新聞社 テレビドラマの原作と言うことで見つけた本です。二週間以上前に図書館で借りてきましたが、これから読みます。返却期限が切れているので、はやく読まないといけません。 読みました。テレビドラマより数倍はおもし…

岩波少年少女文学全集

なんでだか忙しいので、乱読もできません。昔読んだ本の話です。 指輪物語 http://blogs.yahoo.co.jp/rtpcrrtpcr/9377392.html のついでに思い出した岩波少年少女文学全集のことです。OPAC書誌にあった全巻を下にコピペします。なつかしいの一言。 岩波少年…

王妃の離婚 カルチェラタン

王妃の離婚 佐藤賢一 1999年 集英社 カルチェラタン 佐藤賢一 2000年 集英社 西洋歴史小説という分野だそうです。王妃の離婚は1999年に直木賞を受賞したとき、読むつもりだったのに、忘れていた積読本でした。読んだら BOOK OFF 行きです。 時代…

水俣病の科学

水俣病の科学 西村肇 岡村達明 日本評論社 2001年 3300円 水俣病の原因が有機水銀(メチル水銀)であることは今は誰でも知っていることと思っていました。 しかし、チッソ水俣工場が1932年からアセトアルデヒドを作ってきたのに、 (1)なぜ1954に水俣病が…

Harry Potter

Harry Potter and the Order of the Phonix Harry Potter and the Half-Blood Prince ハリーポッターの第一巻が出て評判になった頃、翻訳本を読み始めたのですが、あまりおもしろいとも思わず、読了もせずに何年もたちました。今年に入って突然、読書時間が…

フルハウス 生命の全容

フルハウス 生命の全容―四割打者の絶滅と進化の逆説 Full House :The Spread of Excellence from Plato to Darwin スティーヴン・ジェイ・グールド (著), Stephen Jay Gould (原著) 渡辺 政隆 (翻訳) 早川書房1998年 数年前(2002年)スティーヴン・ジェイ・…

夜のピクニック

夜のピクニック 恩田陸 新潮社 恩田陸の名前は「六番目の小夜子」で知っていましたが、テレビドラマがあまり面白くなく、原作を読もうとは思いませんでしたが、子供の本棚にあった「六番目の小夜子」を読むと、なんとおもしろいんです。 ということで、「光…

インフルエンザウイルスを追う 他二冊

インフルエンザウイルスを追う ジーナ コラーナ 1999年 渕脇耕一他 訳 ニュートンプレス 2000年 2800円 先日読んだ、スペインインフルエンザつながりで、「インフルエンザウイルスを追う」、「4000万人を殺したインフルエンザ スペイン風邪の正体を追って」…