壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

スキャンダルの科学史 他一冊

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スキャンダルの科学史 朝日新聞社 1997年 1339円
科学朝日編

何故か、擬似科学似非科学、トンデモ、の現在を知りたくなりました。

以前「思い違いの科学史」を読みましたが、同様の内容です。パート2として、国外にも題材を求めた「科学史の事件簿」があるそうなので、探します。

科学の新しい知見が得られるとき、その前後にたいていこのような事件があるのだと思います。「思い違いの科学史」の中では、現在(出版当時という意味)でも“ブラウン運動で花粉が動く”という誤解が記載されていることが印象的でした。(本当は花粉の中身の粒子?)

飛び交った自殺説―野口英世 万有還銀術騒動―丸沢常哉
千里眼事件―山川健次郎 心中した少壮教授―北川三郎
幻の脚気菌発見―緒方正規 血液型人間学事始め―古川竹二
「味の素」特許論争―池田菊苗 サイクロトロン破壊事件―ハリー・ケリー
丙午・大地震襲来騒動―今村明恒 伝染病研究所移管事件―北里柴三郎  など

個人的love afairから、学閥闘争や収賄事件、学問上の論争から政治力学に詐欺まで多種の話題のある中で、疑似科学似非科学の部類に入るものは、水銀還金事件(長岡半太郎)とルイセンコ学説事件(徳田御稔)。

20世紀に、原子構造が議論され、元素変換が知られるようになってから、新錬金術が復活したということを知りました。坩堝で熱して、水銀から微量の金が取れると何十年も固執したそうです。

ルイセンコ学説については、「ルイセンコ学説の興亡」個人崇拝と生物学 メドヴェジェフ著 金光 不二夫訳 河出書房新社を1970年代に読んだことがあるのですが、(確か友人に貸したかあげたか手元にない本です。)日本でルイセンコ学説に振り回された人々がたくさんいたそうです。その辺の事情を知りたかったのですが、あまりわかりませんでした。中村禎理さんの「日本のルイセンコ論争」が復刻?されているようなので探します。(図書館にあったので予約します。)

科学朝日繋がりで(今はサイアスという雑誌になっているそうです。このごろ疎いです)サイエンス言誤学を読みました。

サイエンス言誤学 清水義範 朝日新聞社2001年 1600円

科学的とは(1)現実の現象に基づいていること。(2)説の組み立てが合理的であること。
(3)第三者にも検証可能であること。(4)現象の原理が解明されていること。
という条件をそろえて初めて、科学的だ、と言えるのである。という項目から始まるのですが、後は至って気軽に読めるエッセイです。ここにもいくつかの似非科学が取り上げられています。

超能力、足裏健康法など。西原理恵子インパクト挿絵つきです