壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

旅のラゴス

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旅のラゴス 筒井康隆 徳間書店 1986年 980円

ゲド戦記つながりで突然読みたくなり、物置から出してきました。

中学生の頃、SFマガジンで読んだときからの筒井ファンで、筒井作品は、20世紀までの出版物は(再収録を除いて)ほとんど物置にあります。寡作なのでそんなこともできたのでしょう。1998年以降は諸事情により、あまり購入していませんし、パフォーマーとしての筒井さんはほとんど見てません。最新刊 「銀齢の果て」と「愛のひだりがわ」は未読でした。

昔は、「あんなもの読んでるの?!」みたいなことを言われたものです。でもおもしろいものはおもしろいのです。
「旅のラゴス」は傑作です。作者がラテンアメリカ文学に傾倒していた時代の作品だったような気がしますが、物語の舞台のイメージは中央アジアでしょうか。地球以外の星かも。ラゴスが過去に不時着した宇宙船のなかで読書にふける様子は活字中毒者そのものです。

十ほどのラゴスを巡るエピソードからなる比較的薄い本ですが、なぜか壮大な物語を読んだような読後感があります。

筒井作品の七瀬物のような正統派はもちろん、実験的小説もおもしろいけれど、短編の中では比較的初期の「遠い座敷」「家」「エロチック街道」「熊の木本線」が不思議系で良いです。笑えるのは「カメロイド文部省」「マグロマル」「メタモルフォセス群島」。

その他スラップスティックエログロナンセンススプラッタースカトロ、思い出していると、筒井康隆全集を物置から出してきて読みそうになるので、やめておきます。