壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

立証責任 他二冊

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立証責任 スコット トゥロー Scott Turow  
上田 公子 訳 文芸春秋 1993年

有罪答弁 上田公子訳 文芸春秋 1995年

われらが父たちの掟(The Laws of Our Fathers) 二宮薫訳  文芸春秋 1997年 

図書館で借りたのは、スコット・トゥロー(Scott Turow)の本です。「推定無罪」Presumed Innocent は読んだ覚えがありますが、「立証責任」The Burden of Proof は読んだか否か覚えがありません。既読だとガッカリなので、念のためその他「有罪答弁」「われらが父たちの掟」を借りました。スコット・タローという表記で本棚に並んでいたのでなかなか探せませんでした。さらに古い本なので、書庫に入っていました。

推定無罪」は、おもしろかった。このような形でのミステリーが斬新でした。映画にもなっていました(ハリソン・フォード主演です)。これ以降法廷物が流行りました。

同じ著者の本を続けて読むのは、興がそがれることもあるのですが、忘れてしまわないうちに読んでおきたい気がします。こういうのも一種の収集癖なのでしょう。その他 「死刑判決」、「囮弁護士」があります。忘れないようにここにメモしておきます。小説ではないですが「極刑 死刑をめぐる一法律家の思索」もあります。「ハーヴァード・ロー・スクール わが試練の一年」はノンフィクションですが、おもしろそうです。

「立証責任」は、やはり読んだことがあるようです。冒頭の印象的な場面を覚えています。しかし内容も結末もほとんど記憶にありません。記憶力の減退を嘆くより、二度楽しめることを喜ぶべきなのでしょうか。「推定無罪」の登場人物の1人が、主人公になって別の作品を構成する、”スピンオフ”という形式です。初めて聞く言葉でした。踊る大走査線の”交渉人”や”容疑者”がこれに当たるわけですか。リーガルサスペンスの先駆である「推定無罪」ほどには新鮮でなかったけれど、一気に読ませる内容でした。

「有罪答弁」Pleading guilty は法律事務所を舞台にした、探偵物風。どんでん返しの連続で、エンターテインメント性が強いのですが、経済犯罪のディテールについていけませんでした。

「われらが父たちの掟」(The Laws of Our Fathers)「立証責任」で登場した判事が主人公であるスピンオフです。しかし純文学風のテイストがあり、充分楽しめました。これはお勧めです。1960年代終わりのベトナム反戦運動の頃に一緒に過ごした仲間たちが、25年後に再び法廷で再会し、現在と過去を行き来しながら物語が進行します。法廷のやり取りや事件の謎解きも完成度が高いと思います。アメリカでは、殺人罪より、麻薬売人の罪の方が重いこともあるのですね。