壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

2010-01-01から1年間の記事一覧

ぼっけえ、きょうてえ 岩井志麻子

ぼっけえ、きょうてえ 岩井志麻子 角川書店 1999年 1400円 本を売りに行って390円になったので、105円の古本を二冊買いました。年齢とともにホラー耐性ができたようで、こんなに怖そうな本を選んでしまいました。読んでいて青ざめるほどに怖いというわけでは…

ダブリンで死んだ娘 ベンジャミン・ブラック

ダブリンで死んだ娘 ベンジャミン・ブラック 松本剛史訳 ランダムハウス講談社文庫 2009年 920円 1950年代のダブリンを舞台に、ブッカー賞作家が別名義でミステリに初挑戦した話題作だそうです。原題『Christine Falls』 死体安置所で不審な行動をとっていた…

建築する動物たち マイク・ハンセル

建築する動物たち マイク・ハンセル ビーバーの水上邸宅からシロアリの超高層ビルまで 長野敬+赤松真紀訳 青土社 2009年 2520円 更新が一週間ぶりになってしまいました。返却期限の迫った本が何冊も溜まっているのに、春になったせいか、あれこれ気が散るこ…

モーダルな事象   奥泉 光

モーダルな事象 奥泉 光 桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活 文藝春秋 本格ミステリマスターズ 2005年 1950円 桑潟幸一助教授の元に、とある童話作家の遺稿がもちこまれた。発表するや意想外の反響を得るのだが、遺稿は盗まれ、編集者は首なし死体で発見…

グラーグ57(上・下)   トム・ロブ・スミス

グラーグ57(上・下) トム・ロブ・スミス 田口俊樹訳 新潮文庫 2009年 各700円 前作『チャイルド44』はもちろん面白かったけれど、陰惨な事件に気が滅入ってしまい、読んでいて辛かった。今度はそんなことにならないように注意しながら読み始めました。その…

妻という名の魔女たち フリッツ・ライバー

妻という名の魔女たち フリッツ・ライバー 大瀧啓裕訳 創元推理文庫 2003年 760円 図書館の新着コーナーから『跳躍者の時空』を借りてきましたが、フリッツ・ライバーは全く初めてなので、短編集から読むよりは長編から読みたいと、1940年代に書かれた初期の…

ボート   ナム・リー

ボート ナム・リー 小川高義訳 新潮クレストブックス 2010年 2300円 その土地、その時代を鮮やかに切り取った七編の物語。抑制の効いた硬い語りが、切り取られた風景の解像度を驚くばかりに高めています。生後三ヶ月でボートピープルとしてオーストラリアに…

おさがしの本は 門井慶喜

おさがしの本は 門井慶喜 光文社 2009年 1600円 図書館ミステリだということで読みたいと思ったのに忘れていて、どういうわけか突然思い出して図書館で借りてきました。人気の本らしいですが、すでに図書館の予約待ちは途切れていました。全市内で蔵書の複本…

農場の少年 ローラ・インガルス・ワイルダー

農場の少年 ローラ・インガルス・ワイルダー こだまともこ/渡辺南都子訳 講談社青い鳥文庫 1985年 500円 インガルス一家の物語のうちで最も好きなのがこの本、マイ・オールタイムベストです。後にローラの夫になったアルマンゾの少年時代が、「子供時代の幸…

闇の奥 ジョゼフ・コンラッド

闇の奥 ジョゼフ・コンラッド 黒原敏行 光文社古典新訳文庫 2009年 590円 『闇の奥』をまだ読んだことがないのはいかがなものかと(笑)、岩波文庫を寝かしてあるのですが、いかんせん老眼には目の毒というばかりに字が小さくて読了に至りません。新訳を見か…

ぽろんぽろん まどみちおさんの詩をうたう

ぽろんぽろん まどみちおさんの詩をうたう CDブック詩集 クニ河内(音楽) クレヨンハウス 2009年 まどみちおさんの百歳の誕生日記念だそうです。まどさんの詩もクニさんの音楽も、のどかでのほほんとした雰囲気にたいそう癒されます。 寒いけれど、ガラス越…

死神を葬れ ジョシュ・バゼル

死神を葬れ ジョシュ・バゼル 池田真紀子役 新潮文庫 2009年 820円 「病院勤務は悪夢だ」挨拶がわりに僕らはこう言う。研修医の地獄のシフトじゃ睡眠時間は当然不足、疲労は無限。クスリでもキメなきゃやってられない。しかもその日の入院患者が最悪。マフィ…

パラドックス13 東野圭吾

パラドックス13 東野圭吾 毎日新聞社 2009年 1700円 SF設定の人間ドラマは、東野作品の中で好きなジャンルです。 P-13現象(論理数学的に予測不可能な現象なんだそうですが要するに時間がジャンプするらしい。こういう設定はどうでもよろしいというくらいお…

転移 中島梓

転移 中島梓朝日新聞出版 2009年 1800円 昨年5月末に他界された中島梓さんの絶筆。「『ガン病棟のピーターラビット』の続編に当たり、すい臓がんが肝臓に転移した以降の2008年9月から亡くなる直前の5月半ばまでの日記形式のエッセイです。病状が進んでかなり…

日本の帰化植物図譜

日本の帰化植物図譜 日本植物画倶楽部(植物画制作) 大場秀章(監修・解説) アボック社 2009年 9800円 図鑑が好きで、ボタニカルアートも好きなので、こういう本は見逃せません。図書館で借りてきました。ページをめくると、道端で見慣れたオオイヌノフグリ…

メイプル・ストリートの家 スティーヴン・キング

メイプル・ストリートの家 スティーヴン・キング 永井淳 他訳 文春文庫 2006年 590円 「ナイトメアズ&ドリームスケープス」の二巻の短編集を文庫本四分冊に編成しなおしたものだそうですが、幸いなことにどれも未読でした。キングを一概に「ホラー」として…

白い城 オルハン・パムク

白い城 オルハン・パムク 宮下遼/宮下志朗訳 藤原書店 2009年 2200円 『イスタンブール 思い出とこの町』ではいまひとつピンとこなかったイスタンブールが、この本で明確にイメージできたような気がします。とても巧くて面白い作品でした。ヴェネツィア人と…

ロスチャイルドのバイオリン アントン・P・チェーホフ

ロスチャイルドのバイオリン アントン・P・チェーホフ イリーナ・ザトゥロフスカヤ絵 児島宏子訳 未知谷 2005年 2100円 図書館の新着コーナーで見つけた本。墨絵のようなイラストが面白くて手にとりましたが、この出版社から出ているチェーホフ・コレクショ…

青い野を歩く クレア・キーガン

青い野を歩く クレア・キーガン 岩本正恵訳 白水社イクスリブリス 2009年 2200円 アイルランド女性作家の短編集。「イクス・リブリス」シリーズの『イエメンで鮭釣りを』が面白かったので、このシリーズでいくつか海外文学を追いかけましょう。 アイルランド…

分類思考の世界 なぜヒトは万物を「種」に分けるのか   三中信宏

分類思考の世界 なぜヒトは万物を「種」に分けるのか 三中信宏 講談社現代新書2014 2009年 800円 『系統樹思考の世界』の姉妹編。本のオビ(右)はこんなに豪華らしいが、図書館本なので味気ない。新書にしてはかなりの量の参考文献には多くの専門書に混ざっ…

追想五断章 米澤穂信

追想五断章 米澤穂信 集英社 2009年 1300円 伯父の営んでいる古書店に居候している菅生芳光は、大学を休学中の身。復学の学資を稼ぐため、古書店を訪れた北里可南子という若い女性の依頼で、彼女の父親の遺品である五編の小説を探し始めます。その五編のリド…

今昔奇怪録 朱雀門出

今昔奇怪録 朱雀門出 角川ホラー文庫 2009年 540円 2009年日本ホラー大賞短編賞受賞作。ホラーだって読みたいけれど、怖いのはどうも・・・。これくらいがちょうどいいです。どの話も好みでしたし・・。 『今昔奇怪録』 町会館の清掃中に本棚で見つけた『今…

還らざる道 内田康夫

還らざる道 内田康夫 祥伝社ノン・ノベル 2009年 890円 これも貰い物ミステリ。浅見光彦101番目の事件だそうです。 桜の季節、愛知・岐阜県境の奥矢作湖に他殺体が浮かんだ。被害者は業界大手、白陽インテリア会長の瀬戸一弘と判明。瀬戸は、二度と還らない…

新参者 東野圭吾

新参者 東野圭吾 講談社 2009年 1680円 図書館での予約数500以上という東野圭吾の最新作を貰ったので嬉しくって、加賀恭一郎刑事とはたぶん初対面ですが読んでしまいました。 読み始めてすぐ「宮部みゆき?」と勘違いするほどに、江戸情緒の残る下町の風景と…

パラレルワールド・ラブストーリー 東野圭吾

パラレルワールド・ラブストーリー 東野圭吾 講談社文庫 1998年 780円 題名から、タイムパラドックス物かと思って読み始めたら、そうではありませんでした。親友の二人が同じ女性を愛してしまったという切ないラブストーリーの中に、記憶の改編というSF的テ…

大腸菌―進化のカギを握るミクロな生命体  カール・ジンマー

大腸菌―進化のカギを握るミクロな生命体 カール・ジンマー 矢野真千子訳 NHK出版 2009年 2100円 パソコンが使えなかったので、ブログを少しお休みをしていました。あいだが開くとブログに復帰するのがだんだん面倒になります。でも記事にした本が(読書メー…

ゴミと罰 ジル・チャーチル

ゴミと罰 ジル・チャーチル 浅羽莢子訳 創元推理文庫 1991年 480円 久しぶりにコージー・ミステリを読みたくなりました。長いシリーズ物なので、ゆきあやさんに紹介いただいた通り、順序良く第一作からいきましょう。 三人の子持ちアラフォー主婦ジェーンの…

少年探偵ロビンの冒険   F・W・クロフツ

少年探偵ロビンの冒険 F・W・クロフツ 井伊順彦訳 論創ミステリ62(ヴィンテージ・ジュヴナイル) 2007年 1800円 クロフツといえば、四十年以上前(中学生のころ)に『クロイドン発12時30分』で倒叙ミステリを初めて知り、『樽』でアリバイ崩しの醍醐味を知…

銀二貫 高田郁

銀二貫 高田郁 幻冬舎 2009年 1000円 人情時代物を求めて読みました。大坂天満の寒天問屋和助が、仇討ちで父を亡くした松吉を「銀二貫」で救って引きとり、育てていきます。周りの人情厚い人々に支えられて、松吉が商人として成長していく姿が描かれます。 …

パリ 地下都市の歴史 ギュンター・リアー/オリヴィエ・ファイ

パリ 地下都市の歴史 ギュンター・リアー/オリヴィエ・ファイ 古川まり訳 東洋書林 2009年 3800円 怖がりなので実際には行けませんが、「地下」とか「洞窟」とか好きです。パリの下水道より、もっと興味を惹かれるものがパリの地下にありました。 パリの地…