壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

銀二貫 高田郁

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銀二貫 高田郁
幻冬舎 2009年 1000円

人情時代物を求めて読みました。大坂天満の寒天問屋和助が、仇討ちで父を亡くした松吉を「銀二貫」で救って引きとり、育てていきます。周りの人情厚い人々に支えられて、松吉が商人として成長していく姿が描かれます。

「銀二貫」の使われ方がうまくて全体としてよくまとまった話になっていました。松吉が工夫する寒天や美味しそうな羊羹の出来具合、主人和助と番頭善次郎の漫才のような掛け合い、幼馴染真帆との恋の行方などなど、どれもが気になって一気に読んでしまいました。

ベタな人情話は嫌いではありませんが、登場人物のベタな感情表現はちょっとね・・・・。読者が笑いたいところなのに登場人物が先に「くっくと笑ったり」、読者がしんみりとしたところで登場人物が先に「涙をぽたぽた落としたり」してくれるので、ひねくれ者の読者としては笑うのも泣くのもできませんでした。