壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

ロスチャイルドのバイオリン アントン・P・チェーホフ

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ロスチャイルドのバイオリン アントン・P・チェーホフ
イリーナ・ザトゥロフスカヤ絵 児島宏子訳 未知谷 2005年 2100円

図書館の新着コーナーで見つけた本。墨絵のようなイラストが面白くて手にとりましたが、この出版社から出ているチェーホフ・コレクションの一冊だそうです。

貧しい棺桶職人のヤーコフはバイオリンの名手でもあったので、村の婚礼にオーケストラで演奏していくばくか稼いでいました。でも彼はフルート奏者のロスチャイルドが気に入らなくていつも悪口を並べ立てています。妻の葬儀の時でさえもオーケストラに誘いに来たロスチャイルドを罵倒してしまいます。人生の損得ばかりを考えて生きてきたヤーコフですが、病気になって自分の死を前にバイオリンを演奏した時、その音色に感動して涙したロスチャイルドにバイオリンを譲ります。

こんなあらすじではうまく伝わらないけれど、チェーホフの飾り気のない文章がイラストと相まって独特な雰囲気を醸し出しています。