壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

ゴミと罰 ジル・チャーチル

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ゴミと罰 ジル・チャーチル
浅羽莢子訳 創元推理文庫 1991年 480円

久しぶりにコージー・ミステリを読みたくなりました。長いシリーズ物なので、ゆきあやさんに紹介いただいた通り、順序良く第一作からいきましょう。

三人の子持ちアラフォー主婦ジェーンの毎日は家事に埋没しています。子供をたたき起こして、犬と猫にも朝食をあたえ、車で学校に送ること二回、お迎え当番の段取りをして、
隣に住む親友シェリーの家で開かれる持ち寄りパーティーの料理を準備し、末っ子の飼うハムスターの世話をし、ニンジンサラダにつかうみかんジュースを探して町を走り回り、銀行に寄り、長女に頼まれたグラフ用紙を買い、クリーニング屋に行って、ボランティアにも行かなければならないし、冬に備えてボイラーの調子だって見ておかなければなりません、だって七ヶ月前に夫スティーヴを亡くしたばかりですから。

そんな平凡な日常に起きた殺人事件。隣家で通いの掃除婦が殺され、近所の主婦一同が疑われました。推理小説ファンのジェーンとしては、我が家を守るためという大義名分の下、親友シェリーを巻き込んで、探偵活動を開始しました。イケメン刑事メル・ヴァンダインの警告を一切無視して事件に首を突っ込み、主婦のカンだけを頼りにご近所を聞き込みします。世間話のついでに遠まわしに(実はそのものズバリに)尋ね、おとり捜査まで敢行。手がかりは食器洗い機に、冷蔵庫の中身?

徹底的に主婦の目線で進行する話で、あちらこちらに共感ポイントがあって楽しかったです。家事や子育ての悩み事はもちろんのこと、夫の死後芝刈り機などの道具類の扱いに困ったり、へこんだ時にチャイコフスキーを聴いたりするのまで、どれも「あるある!」。ユーモアだけでなく、人生の裏側の哀しみもちょっぴり加味されて、シリーズ物として期待できそうです。

こういうアメリカンなコージーは好きです。コリン・ホルト・ソーヤーの『老人たちの生活と推理』カムデン老人ホームシリーズは面白かったのですが、老人ホームに共感するにはまだ人生の修行が足りず、シリーズ途中で一休みしています。こちらの『主婦たちの生活と推理』シリーズはもう少し追いかけます。