壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

新参者 東野圭吾

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新参者 東野圭吾
講談社 2009年 1680円

図書館での予約数500以上という東野圭吾の最新作を貰ったので嬉しくって、加賀恭一郎刑事とはたぶん初対面ですが読んでしまいました。

読み始めてすぐ「宮部みゆき?」と勘違いするほどに、江戸情緒の残る下町の風景と人情が色濃い作品でした。ミステリも人情噺もユニークとは言えないけれど、九編の連作短編のようにも見える巧みな構成なので、とっても楽しめる出来上がりです。

日本橋の片隅で四十代女性の絞殺死体が発見され、日本橋署に着任したばかりの刑事・加賀恭一郎が事件を追ううちに、いくつもの謎が浮かび上がってきました。この町に住むいくつもの家族の抱えている問題に寄り添うような、加賀刑事の人情味溢れた人柄が好ましく、でも最後には東野さん独特のブラックさが登場するのではないかとドキドキして読みました。最後まで人情噺のトーンは変らず、あてが外れたような、ホッとしたような・・・。でも読後感爽やかで、こういうベタな人情噺はやっぱり好きだなあ。

加賀恭一郎にも興味津々。最新巻を最初に読んじゃったので、加賀恭一郎シリーズは、逆順に読もうかな(ヤケクソ)。