壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

大腸菌―進化のカギを握るミクロな生命体  カール・ジンマー

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大腸菌―進化のカギを握るミクロな生命体  カール・ジンマー
矢野真千子訳 NHK出版 2009年 2100円

パソコンが使えなかったので、ブログを少しお休みをしていました。あいだが開くとブログに復帰するのがだんだん面倒になります。でも記事にした本が(読書メーターによれば)700冊ほどに達したので、ここでやめてしまうのはなんだかもったいない・・1000冊だって夢じゃない・・・ボケ防止のために、やっぱりがんばりましょう。

サイエンス書を読もうかと探したら、図書館の新着に矢野真千子訳を発見。矢野さんの訳は『感染地図』 『迷惑な進化』 『解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯』 と三冊読みました。著者はそれぞれ異なるけれど、どの訳も日本語のリズムが良くて、平易な文で理解しやすいです。

理解しやすさは原著の功績もあるでしょう。著者カール・ジンマーは米国のサイエンス・ライターで、事実を淡々と説くような語り口が、内容の面白さをいっそう引き立てるようです。大腸菌をテーマに、分子生物学の歴史から説き起こし最新の話題にも触れています。最も単純な生命体の一つである大腸菌の生命現象が、複雑な多細胞生物にも敷衍されて語られている点が面白く興味のもてるところです。

創造説論者との戦いにも言及しています。ドーキンスのような対決姿勢ではありませんが、「E・コリ(大腸菌)、法廷に行く」という章で、2005年に判決の出たインテリジェント・デザイン(ID)論争を紹介しています。マイケル・J・ベーエというID論者が法廷で、大腸菌の鞭毛の精巧な造りが「いかにもデザインっぽい」と証言するくだりは、なかなか面白いです。