昨年5月末に他界された中島梓さんの絶筆。「『ガン病棟のピーターラビット』の続編に当たり、すい臓がんが肝臓に転移した以降の2008年9月から亡くなる直前の5月半ばまでの日記形式のエッセイです。病状が進んでかなりの痛みを抱えながらも、連載の『グイン・サーガ』を書き続け、ジャズピアノのセッションをこなしてしまうという前向きな生活ぶりは、闘病記を形容するのによく使われる「壮絶」や「凄絶」というのとは違って、「ひたむき」という言葉がふさわしいかもしれません。日記ですから、ガンの痛みやままならない食事に関する記載が多いのだけれど、死を意識しながらも生きたあかしとして音楽や著作に打ち込む姿、そしてまさに絶筆というような終わり方は、万感胸に迫るものがありました。