壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

2021-01-01から1年間の記事一覧

一度きりの大泉の話 萩尾望都 / 少年の名はジルベール 竹宮恵子

一度きりの大泉の話 萩尾望都 河出書房新社 電子書籍 少年の名はジルベール 竹宮恵子 小学館文庫 電子書籍 というネットの記事を読んで,この二冊の本を読みました。少女マンガは萩尾望都のSF作品を少し読んだ事があって,ちょっとだけファンです。竹宮恵子…

猫は知っていた 二木悦子

猫は知っていた 二木悦子 講談社文庫 電子書籍 二木悦子のミステリーデビュー作で,1957年の第3回江戸川乱歩賞受賞作ということですから,なんと64年前の作品です。映画やテレビにもなったようで,社会状況や生活環境の違いを差し引いても,コージーミステリ…

ロボット・イン・ザ・スクール  デボラ インストール

ロボット・イン・ザ・スクール デボラ インストール 松原葉子訳 小学館文庫 タングの三作目です。ベンとエミリーの四歳の娘ボニーがプレスクールに通い始めました。当然タングも「僕も学校に行きたい!」。ロボットが学校に通うなんて許可が下りず,通学でき…

赤い猫 二木悦子

赤い猫 二木悦子 講談社文庫 電子書籍 二木悦子の後期の短編が6編。前半3編がアームチェアディテクティブ,中3編が二木兄弟シリーズで昭和50年代に書かれたもの。昭和の香りのコージーミステリと言ったらいいのでしょうか,殺人事件を扱いながらも話の展開は…

グレゴワールと老書店主 マルク・ロジェ

グレゴワールと老書店主 マルク・ロジェ 東京創元社 海外文学セレクション 図書館本 18歳のグレゴワールは老人ホームで働き始めた。元書店主のムッシュー・ピキエは,ホームの自室に3000冊の本を持っているが,体も目も不自由になってグレゴワールに朗読を頼…

主よ、永遠の休息を 誉田 哲也

主よ、永遠の休息を 誉田 哲也 実業之日本社文庫 電子書籍 就寝前の読書としては選択ミスでした。悲惨で痛ましい事件を扱っているのにページタナーで,読み終えてもどこにも救いがありません。こんなひどい話を読んでいるのに読むのをやめられない自分が嫌い…

猫の傀儡 西條奈加

猫の傀儡 西條奈加 光文社文庫 電子書籍 猫が主人公の痛快時代ミステリーです。猫が人間を操って事件を解決する,これって江戸時代の三毛猫ホームズ? 三毛猫ホームズを読んだ事もなく猫を飼ったこともないのだけれど,とても楽しめました。猫の鳴き声は人間…

誓願 マーガレット・アトウッド

誓願 マーガレット・アトウッド 鴻巣友季子訳 早川書房 図書館本 『侍女の物語』の15年後の物語。オブフレッドの一人語りだった『侍女の物語』は読めば読むほど鬱々として胸塞がる思いだったが,この物語は読めば読むほどに引き込まれるエンタメ性の強い話だ…

侍女の物語 マーガレット・アトウッド

侍女の物語 マーガレット・アトウッド ハヤカワepi文庫 電子書籍 『侍女の物語』はディストピア小説として1985年に書かれたものだ。ユートピアはいつも,私たち現在の世界から遠く離れた所にあるのに,ディストピアはいつも,現在と地続きの所にあるのだ。 …

オリーヴ・キタリッジ、ふたたび  エリザベス・ストラウト

オリーヴ・キタリッジ、ふたたび エリザベス・ストラウト 小川高義/訳 早川書房 図書館本 ✉ おかえりなさい, オリーヴ。 『オリーヴ・キタリッジの生活』からもう十年。その間も,あなた様は元気でお暮しのようですね。HBOのドラマも拝見いたしました。ジ…

謎のクィン氏 アガサ・クリスティー

謎のクィン氏 アガサ・クリスティー 早川書房 電子書籍 どこからともなく現われては,love affairを解決して,また姿を消すハーリ・クィン。解決というより,登場人物たちが不幸な結末にならないよう,救済の方向を示唆します。ミステリーというよりは,大人…

新型コロナからいのちを守れ!  理論疫学者・西浦博の挑戦

新型コロナからいのちを守れ! 理論疫学者・西浦博の挑戦 西浦 博/著 川端 裕人/聞き手 中央公論新社 図書館本 西浦さんが語る,ダイアモンド・プリンセスから,国内の第1波(今から考えると小さな波でしたが)と4月~5月の緊急事態宣言(いわゆる8割削減)…

ウナギが故郷に帰るとき パトリック・スヴェンソン

ウナギが故郷に帰るとき パトリック・スヴェンソン 新潮社 図書館本 ウナギの生命誌・研究史・文化史を興味深いエピソードとともに綴る冷静なノンフィクションの章と,著者と父親のウナギ釣りという個人的な思い出を詩的に語る章とで交互に構成された本は,…

結局、ウナギは食べていいのか問題  海部健三

結局、ウナギは食べていいのか問題 海部健三 岩波科学ライブラリー 図書館本 私としては絶滅危惧種は食べないと決めています。食べないのは主に経済的理由ですが,環境意識で理論武装したい(笑)。うなぎの蒲焼は好きですが,生き物としてのウナギはもっと…

百年先~地方博物館の挑戦

百年先~地方博物館の挑戦 ふじのくに地球環境史ミュージアム編 静岡新聞社 図書館本 我が家から坂を上って20分ほど歩いた先,日本平・有度山の南西斜面に,廃校となった県立高校を再利用した小さなミュージアムがあります。6年前にできた「ふじのくに地球環…

ウッドストック行最終バス  コリン・デクスター

ウッドストック行最終バス コリン・デクスター ハヤカワ・ミステリ文庫 電子書籍 バス停で待つ二人の娘は,なかなか来ないウッドストック行バスをあきらめヒッチハイクをし,そのうちの一人が殺された。もう一人の娘は誰なのか,赤い車に乗せた男は誰なのか…

ロボット・イン・ザ・ハウス  デボラ・インストール

ロボット・ザ・ハウス デボラ・インストール 小学館文庫 タングの二作目です。ベンとエイミーの娘ボニーが9カ月,タングはすこしお兄ちゃんになりましたが,AIとしてというよりも,人間の男の子として頑固でちょっと生意気で可愛く成長しています。ある日,…

いま見てはいけない ダフネ・デュ・モーリア

いま見てはいけない ダフネ・デュ・モーリア 創元推理文庫 電子書籍 最近,デュ・モーリアの新訳「原野の館」がでるようで,思い出して五年前に読んだ短編集「いま見てはいけない」を再読しました。内容をかなり忘れていて,もう一度楽しみました。 デュ・モ…

ホリデー・イン 坂木 司

ホリデー・イン 坂木 司 文春文庫 電子書籍 早めに就寝したため午前一時頃に目が覚めてどうしても眠れず,読みやすい本を探してこの電子書籍をポチリました。半分くらい読んで目が疲れ,ALEXAに読んでもらって意味が全然分からなくなり,いつの間にか再び入…

安楽病棟 帚木蓬生

安楽病棟 帚木蓬生 集英社文庫 2017年8月 この文庫本の出版は2017年ですが,書下ろしは1999年で新潮社。20年前,認知症は痴呆,看護師は看護婦でした。介護保険法が施行されたのが2000年ですから現状とは異なる事も多いのでしょうが,高齢者医療の実態はどれ…

ストーンサークルの殺人  M・W・クレイヴン

ストーンサークルの殺人 M・W・クレイヴン 東野さやか訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 厚い文庫本(580ページ)の海外ミステリーを読んだのは,かなり久しぶりです。5日かかってやっと読了。花粉のため目がショボショボでしたが,面白くて読むのをやめられませ…

長いお別れ 中島京子

長いお別れ 中島京子 文春文庫 電子書籍 認知症になった父親をめぐる家族のお話。どのエピソードも認知症の「あるある」ですが,介護の困難や辛さを笑いに変えてあるので,楽しく読めました。はじめは無関係に思えたエピソードが思いがけずつながって,ジグ…

口笛の上手な白雪姫 小川洋子

口笛の上手な白雪姫 小川洋子 幻冬舎 電子書籍 日常の中にひそむ違和感がどんどんふくらんで,読者の妄想をかきたてる小川さんの短編集。自分の妄想を引き出してくれるのがなぜだか心地よいのです。 この短編集は,期間限定で70%オフ! 即ポチリました。ス…

ロボット・イン・ザ・ガーデン  デボラ・インストール

ロボット・イン・ザ・ガーデン デボラ・インストール 松原葉子訳 小学館文庫 一般家庭でもアンドロイドが家事を手伝う近未来のイギリスで,チェンバース家の庭に壊れかけた古いロボットが迷い込んできた。両親の事故死以後,毎日を無為に過ごすダメ男のベン…

活字狂想曲 倉阪鬼一郎

活字狂想曲 倉阪 鬼一郎 幻冬舎 電子書籍 作家として不遇の時代に,印刷会社で文字校正をしていた平成の初めに書かれたエッセイ(著者によれば「漫文」)。平成元年から平成八年まで,会社という組織に迎合しなかった変人会社員 暗坂喜一郎の自虐的記録です…

灰色の季節をこえて ジェラルディン・ブルックス

灰色の季節をこえて ジェラルディン・ブルックス 高山真由美 訳 武田ランダムハウズジャパン 1665年にロンドンから飛び火したペストが小さな村を襲った。語り手は18歳のシングルマザー,アンナ。幼い息子二人がなくなり,隣人や友人が次々にたおれた。村の外…

ドンナ ビアンカ 誉田哲也

ドンナ ビアンカ 誉田哲也 新潮文庫 電子書籍 前作「ドルチェ」が連続ドラマ向きなら、この長編「ドンナ ビアンカ」は二時間ドラマ(または映画)向きかな。 誘拐事件の収束点に向けて、二つの話が進行する。一つは村瀬の物語が少し過去から始まる。もう一つ…

ドルチェ 誉田哲也

ドルチェ 誉田哲也 新潮文庫 電子書籍 女性目線の警察小説が読みたいが、姫川玲子シリーズの続きを読むには、あの女優さんのことを思い出して少し辛い。誉田さんの別シリーズの主人公「魚住久江」はなかなかいい!事件の奥にある人間心理が繊細に描かれてい…

墓場の少年 ノーボディ・オーエンズの奇妙な生活 ニール・ゲイマン

墓場の少年 ノーボディ・オーエンズの奇妙な生活 ニール・ゲイマン 金原瑞人訳 角川文庫 電子書籍 惨殺された家族の生き残りだった赤ん坊は、墓地の中で幽霊たちに見守られて成長していった。何百年も前からある古い墓地に住む幽霊たちの時間は止まったまま…