活字狂想曲 倉阪 鬼一郎
作家として不遇の時代に,印刷会社で文字校正をしていた平成の初めに書かれたエッセイ(著者によれば「漫文」)。平成元年から平成八年まで,会社という組織に迎合しなかった変人会社員 暗坂喜一郎の自虐的記録です。
奇人-常人(明-暗)-変人-廃人の間を行ったり来たりしつつ,どのレベルに自分がいるのかをちゃんと認識できているので,確信的変人というべきでしょう。
このような人物が自分自身だったら相当やっかいだし,身近にいる人間だったらとても耐えられない。でも,他所の他人だったら,充分に面白い笑いの対象となるのですね。
バカミスの『三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人』と『薔薇の家、晩夏の夢』の二冊を読んであきれ果て(面白かったけれど),それ以来の出会いです。
ここ数日,引きこもりで気分が落ち込んでいたんですが,少し笑えて立ち直れたかも…