ドルチェ 誉田哲也
女性目線の警察小説が読みたいが、姫川玲子シリーズの続きを読むには、あの女優さんのことを思い出して少し辛い。誉田さんの別シリーズの主人公「魚住久江」はなかなかいい!事件の奥にある人間心理が繊細に描かれています。
姫川玲子ほどの切れ味はないけれど、元一課で今は練馬署強行犯係42歳 魚住久江の扱う地味な事件は人間味あふれる結末で、連作短編の最後で泣きそうになりました。
男社会の警察の中で、言いたいことがあってもすぐには口に出さない久江ですが、でも自分は曲げられない。あのおっさん刑事には頭にくるよね、見事にやっつけて、スッキリした!被害者だって許さない!
久江を取り巻く仲間の刑事さんたちも、地味にいい感じです。…そうか、TVドラマになっていたのね。
「袋の金魚」
妻が失踪し、残された嬰児は溺死という事故とも殺人ともつかぬ事件。発見された妻は完黙、旦那にはアリバイがあるが、何かあやしい。
「ドルチェ」
バイト先からの帰宅中に刺された女子大生。強盗目的とも思えない状況で、久江は遺留品のハンカチを調べる。
「バスストップ」
バスを降りて家に向かう途中に襲われた女子大生。バス停近くでバスを見送る若い男が容疑者に上がった。
「誰かのために」
印刷工場で起きた暴力事件。被疑者の若い男に説教をしてしまう久江。
「ブルードパラサイト」
女房に刺されたと救急車を呼んだ男。自宅では女房が自分の赤ん坊を盾に久江たちに抵抗した。何があったの? →「brood parasite」
「愛したのが百年目」
学生時代からの親友を車で轢いてしまった男。本当に酒酔い運転のせいなのか?次々明らかになる事実は…