壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

誓願 マーガレット・アトウッド

誓願 マーガレット・アトウッド

鴻巣友季子訳 早川書房    図書館本

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侍女の物語』の15年後の物語。オブフレッドの一人語りだった『侍女の物語』は読めば読むほど鬱々として胸塞がる思いだったが,この物語は読めば読むほどに引き込まれるエンタメ性の強い話だ。ギレアデ政権の中枢にいるリディア小母,ギリアデで育ち外の世界を全く知らないアグネス(ヴィクトリア小母),隣国カナダで自由に育ちギリアデを知らないデイジー(またはジェイドはのちにある理由で小母になる教育を受ける)の三人三様の語りで進行する,いわば「小母たちの物語」。

 

翻訳されてまだ半年だからあまりネタバレしないが,リディア小母はギリアデ国成立当初のひどい経験を経てしたたかに変貌していく。このディストピアとしてのギリアデを倒すべく綿密な計画を練ったのだ。アグネスとデイジーというティーンエイジャーの女の子の冒険譚も面白く,未来に希望の持てる物語になっている。

Huluのドラマは見ていないが,映像化にも適しているのだろう。

 

ベッカはかわいそうだったけど,ギリアデの権力者の男たちの気持ち悪さは前作以上で,こいつらに復讐出来てスッキリした―!