壊れかけたメモリーの外部記憶

読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

新型コロナからいのちを守れ!  理論疫学者・西浦博の挑戦

新型コロナからいのちを守れ! 理論疫学者・西浦博の挑戦

西浦 博/著 川端 裕人/聞き手 中央公論新社    図書館本 

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西浦さんが語る,ダイアモンド・プリンセスから,国内の第1波(今から考えると小さな波でしたが)と4月~5月の緊急事態宣言(いわゆる8割削減)を経て第2波が起こる前までのドキュメンタリーです。聞き手の川端さんの解説が挿入されていますが,大半は西浦目線での語りで,面白くて読みやすい本でした。コロナ対策にかかわった科学者たちの真摯で熱い心と頑張りが伝わってきます。多少の裏話も出てきます。ニュースや会見を見た時の違和感(専門家と政治家の齟齬)がやっぱり本当だったんだなとか…。経済と流行対策というトレードオフのかじ取りをするのは政治家(+行政)の役割です。「専門家にご判断いただく」という政治家の責任逃れには腹が立ちます。専門家が出す感染症数理モデルと経済の数理モデルを基に,政治家が責任をもって判断してください,と思いました。

 

あの頃は今以上にコロナで大騒ぎの時期で,テレビもネットもコロナ一色。田舎の一人暮らしの私でさえ,コロナに感染する可能性はほぼゼロだったにも関わらず,なぜか危機感でもどかしい思いをしたものです。情報源はネットとNHKで(新聞は取ってないし民放のワイドショーは嫌いなので),情報に偏りがあったのかもしれませんが,西浦さんが出てきたときは「これだ!」と思いました。数理モデルの中味は理解できませんが,感染症の流行予測は数理モデルしかないと思っています。川端さんの『エピデミック』を読んだ事があるからかな(この小説,お勧めです)。

 

1回目の緊急事態宣言は適切だったのかは誰にもわからないけれど,有効であったことは確かです。第2波(8月ごろ)が来るまでの時間稼ぎができたことは大きかったと思います。検査体制はいまだに不十分ですが,感染や重症化のメカニズムがだんだん明らかになり,警戒宣言を出さずに何とか第2派を乗り越えました。でも感染を減らし切れなくて,すぐに第3波が来てしまいました。そして2回目の緊急事態宣言(1月から3月)では感染が抑えきれなかったから,第4波も来るのでしょう。ワクチンは間に合わないし,変異株もでて,オリンピックもあるし(あるの?),まだ当分終息しないでしょうね。