水晶内制度 笙野頼子
新潮社 2003年 1700円
『原発を国家の中枢として、日本政府に黙殺された女達の、闇から生まれた女人国ウラミズモ。亡命作家は新国家のために出雲神話を書き変える』
今まで読んだ笙野作品は何だったのでしょうか。この強烈な物語は、女、神話、国家というテーマを抱え込んだ闘争小説。笙野さんの妄想や文体が性に合うと思った私が甘かった。すみません、頭が疲れました。
うわーっ。
陳腐な連想は拒否され、想起するイメージは断片化してしまう。現実を反転させてコントラストを強めてつくられたユートピア(ディストピア)から見えてくるもの。妄想を甕に入れ、地中に百年くらい埋めて腐敗しないように発酵させた何か。
SFという範疇には入らないけれど、そこにおさめることしかできない作品なんでしょうね。わけもなく嫌うということはないけれど、ホラーもジェンダーもあまり強烈なのは・・・ね。次にル=グィンの「闇の左手」を読もうという予定は変更しましたが、笙野作品はいづれまた読みます、性懲りもなく。