壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

ロカノンの世界

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ロカノンの世界 アーシュラ・K・ル=グィン
小尾芙佐訳 ハヤカワ文庫SF 1989年 380円

1966年に書かれたハイニッシュ・ユニバーズシリーズの初長編、正統派古典的SFファンタジーです。それも萩尾望都の表紙ではないですか!

民俗学者G・ロカノンは、銀河系第八区六十二番のフォーマルハウト第二惑星の民俗学調査に出かけた。彼は以前にその星の種族の、一人の美しい女セムリに出会っていた。

銀河連盟への反逆者によって調査隊はロカノンを残して全滅し、通信手段も失われてしまった。この星にある唯一の通信装置アンシブルは、反逆者の元にある。

数人の同行者と共にアンシブルを探して、未知の大陸を旅するロカノンだが、その旅は厳しく、新しい種族に出会うたびに同行者を失った。ロカノンは古えの種族に出会い、ある能力を授かる。

ロカノンの視点からのみ語られる、静かな、神話のような物語です。後期の作品のように説教臭い(^^;ところもなく、初々しい読みやすい作品です。表紙の絵がなくとも、萩尾望都を連想するような美しい世界でした。

このシリーズをもっと読むつもりになりました。たぶん全部未読です。ル=グィンのHPにあるEkumenの物語(ハイニッシュシリーズ)は以下。

ROCANNON'S WORLD  1966 本書 ロカノンの世界
PLANET OF EXILE  1966 辺境の惑星
CITY OF ILLUSION  1967. 幻影の都市
THE LEFT HAND OF DARKNESS  1969 闇の左手
THE DISPOSSESSED: AN AMBIGUOUS UTOPIA  1974 所有せざる人々
THE WIND'S TWELVE QUARTERS  1975 風の十二方位(短編)
THE WORD FOR WORLD IS FOREST  1976 世界の合言葉は森
A FISHERMAN OF THE INLAND SEA  1994. 内海の漁師 (短編)
FOUR WAYS TO FORGIVENESS 1995 未翻訳?(短編)
THE TELLING  2000 言の葉の樹
THE BIRTHDAY OF THE WORLD  2002 未翻訳?(短編)

図書館に翻訳は全部あるようです。古いほうから読もうかと思いましたが、借りてきた「言の葉の樹」は最新刊でした。まあいいか。