壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

2008-09-01から1ヶ月間の記事一覧

深海のYrr(イール) 上・中・下 フランク・シェッツィング

深海のYrr(イール) 上・中・下 フランク・シェッツィング 北川和代訳 ハヤカワ文庫 2008年 各800円 ドイツのSFを読みたいと、ずっと楽しみにしていた本がやっと読めました。上中下三巻揃いでは借りられないため、図書館の予約に乗り遅れて珍しく購入…

タヌキたちのびっくり東京生活 宮本 拓海

タヌキたちのびっくり東京生活 宮本 拓海 しおやてるこ NPO都市動物研究会 共著 技術評論社 2008年 1580円 今読んでいる長編がなかなか捗らないので、気分転換に軽い科学読み物を一冊読みました。京都での狸の大騒動と比べて(笑)、というわけではありませ…

見知らぬ場所 ジュンパ・ラヒリ

見知らぬ場所 ジュンパ・ラヒリ 小川高義訳 新潮クレストブックス 2008年 2300円 「停電の夜に」「その名にちなんで」に続く三作目です。五つの短編と三つの連作短編はどれもラヒリらしく、静かに心にしみこんできます。インドからアメリカに移住した人たち…

博物館の裏庭で ケイト・アトキンソン

博物館の裏庭で ケイト・アトキンソン 小野寺健訳 新潮クレストブックス 2008年 2500円 クレストブックスの新刊にはこの頃ちょっとご無沙汰していましたが、8月に三冊ほど読みたいものがいっぺんに出版されました。そのうちの一冊ですが、ケイト・アトキンソ…

霧と雪 マイケル・イネス

霧と雪 マイケル・イネス 白須清美訳 原書房 2008年 2200円 サバテールの「物語作家の技法」で「ハムレット復讐せよ」が面白いときき、でもシェークスピアに詳しくないと楽しめないかもと、イネスには手を出さないでいました。 でも、新刊コーナーにもう三週…

眺めのいい部屋 E・M・フォースター

眺めのいい部屋 E・M・フォースター北條文緒訳 みすず書房 フォースター著作集2 1993年 「ハワーズ・エンド」が面白かったので、もう一作フォースターを読みました。使われているのが同じようなモチーフなので、主人公のルーシー・ホニーチャーチと、ハワー…

クマムシ?! 小さな怪物 鈴木忠

クマムシ?! 小さな怪物 鈴木忠 岩波科学ライブラリー 2006年 1300円 もう一冊、クマムシ本です。 クマムシが「地球最強の生き物である」という噂が都市伝説のように流布しているそうです。何をしても死なない?完全に乾燥すると百年以上生きる?液体ヘリウム…

クマムシを飼うには 鈴木忠 森山和道

クマムシを飼うには 鈴木忠 森山和道 地人書館 2008年 1400円 何十年も前の学生時代、走査電子顕微鏡がまだ珍しかったころに、過酷な条件で生存できるクマムシが話題になったことがありました。走査電顕の撮影後(真空で高圧の電子線にさらされた状態)に歩…

黄泥街 残雪

黄泥街 残雪 近藤直子訳 河出書房新社 1992年 2600円 残雪(ツァン・シュエ)の1983年の処女作(邦訳としては三冊目)です。出たばかりの世界文学全集の「暗夜」を借りようとしたら、すでに結構予約が入っていました。図書館の蔵書を調べたら、邦訳は揃って…

寡黙なる巨人 多田富雄

寡黙なる巨人 多田富雄 集英社 2007年 1500円 「ビルマの鳥の木」を読んだ後に、多田さんの最近のエッセーを探したのですが、あいにく借りられなくてそのままになっていました。本書が小林秀雄賞を受賞したのをきっかけに読み始めました。 2001年に脳梗塞で…

アキレスとカメ 吉永良正

アキレスとカメ 吉永良正 大高郁子絵 講談社 2008年 パラドックスの考察という副題があります。すみません、映画「アキレスと亀」ではありません。「時間とは何か」に続き、一時間で読める絵本のような科学読み物です。 有名なゼノンのパラドックス「アキレ…

名もなき書  The book with no name アノニマス

名もなき書 The book with no name アノニマス 成川裕子訳 PHP 2008年 各1700円 由緒ありげな凝った表紙の本が上下揃いで並んでいたので、予備知識無しについ借りてしまったのです。 読者へ 心の清き者のみが、本書をひもとくことを許される。 読者はぺージ…

生ける屍 ピーター・ディキンスン

生ける屍 ピーター・ディキンスン 神鳥統夫訳 サンリオSF文庫 1981年 420円 「キングとジョーカー」よりもっと入手しにくいのが「生ける屍」だと聞いて読みたくなり、図書館で借りました。アマゾンで数万円の値段がついていること以上に驚いたのは、ピーター…

老魔法使い フリードリヒ・グラウザー

老魔法使い フリードリヒ・グラウザー 種村季弘訳 国書刊行会 2008年 3800円 図書館の新刊コーナーで見かけました。ドイツ・ミステリを読みたかったのでラッキー! 三冊分はありそうな本。・・・・で、やはり三冊分ありました。長かったけれど、ガマンして読…

雷の季節の終わりに 恒川光太郎

雷の季節の終わりに 恒川光太郎 角川書店 2006年 1500円 前作「夜市」でノスタルジック・ホラーに魅せられました。(ホラーといってもあまり怖くないです。これは重要)。 『穏(オン)』という異界の村には、第五の季節『神季』があります。冬の終わりに雷…