壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

対岸の彼女  角田光代

対岸の彼女  角田光代

文藝春秋  電子書籍&オーディオブック

先月、角田光代氏の講演会を聴きに行った。著書を一冊しか読んでいないことに思い至り、講演の前にと、とりあえず直木賞受賞作を選んだ。お試しのAudibleで聴いていたが、ナレーターの読みが上手で、心地よくて眠ってしまう。途中でもどかしくなり、電子書籍を購入。慌ただしく読んだので、ここに記録するのを忘れていた。

20年前の受賞作で、ドラマ化もされたベストセラーの話題作だったが、読者対象が30代の女性に限定されているような気がして、その時は読む気になれなかったのだと思う。

他人と関わるのが苦手な専業主婦の小夜子は、大学で同窓だった葵に誘われて彼女が経営する小さな会社で働くことになる。立場の全く異なる二人の距離が描かれている。かつて葵は他人と関わるのが苦手だったのに、高校時代に出会った友人ナナコとの友情を糧にして変わっていったのだろう。小夜子もまた大人になって葵と出会い変わっていく。

そういえば、40年くらい前はこんな事を考え、感じていたように思う。同年代の女性との付き合い方に迷い、憶病になる気持ちは覚えている。・・・今はもう、70歳過ぎたら怖いものなし。