キュレーターの殺人 M・W・クレイヴン
東野 さやか訳 ハヤカワ・ミステリ文庫
『ストーンサークルの殺人』『ブラックサマーの殺人』に続く三作目。二本の指が切断された事件が連続三件、前半は犯人の意図も何も分からず、右往左往してどこへ行くのか予想が付かない。長いんだよ!
半分を過ぎ、FBIの特別捜査官が連絡してきた辺りから、俄然面白くなってきた。ダークウェブを使った殺人ゲームに端を発して、黒幕の殺し屋の存在が明らかになった。カンブリア地方の大雪を掻き分け、孤立した島へ遠浅の砂洲を渡るポーとブラッドショーの活躍の場面は、手に汗握る展開だった。
キュレーターと呼ばれる黒幕については見事に騙された。最後の危機的展開は、衝撃的過ぎて受け入れがたい。そこまで猟奇的にする必要があるのか。殺人の依頼者は予想しないでもなかったが、そんなことが動機になるのか。そして、最後の最後は最期なのか、ここでのクリフハンガー、次回作を読めってことだよね。
ワシントン・ポーと、彼を取り巻く警察関係者、分析官のブラッドショー、フリン警部、ナイチンゲール警視、病理医のドイル医師などとの関係性が面白い。みんな女性じゃないですか。
今回は珍しく紙の本を読んだ。友人からの頂き物で、ずっとKindle unlimitedを読んでいたので新鮮な体験。