壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

宇宙衞生博覽會  筒井康隆

宇宙衞生博覽會  筒井康隆

新潮文庫  電子書籍

異星人とのファースト・コンタクトで思い出した筒井康隆の短編「最悪の接触(ワースト・コンタクト)」が含まれる8編からなる短編集『宇宙衞生博覽會』は,40年以上前に刊行されたとき,横井忠則のド派手なカバーデザインだったと思います。ネットで検索してみると,「この本には毒があります。毒に対する抗体を持っていない方は…読まないでください」と帯にありました。私も40年前には抗体を持っていたはずなのに,今はもう失くしていました。歳を取ると免疫力が下がる。

 

お目当ての「最悪の接触(ワースト・コンタクト)」は,この中でもおとなしいほう。地球がマグマグ星との交易を始めるにあたって,試験的にそれぞれの代表一人がドーム内で共同生活を行うことになった。マグマグ星は大気も気圧も地球とほぼ同じで,マグマグ人は共通言語をしゃべるヒューマノイド。ところが,論理が全く通じず,共感が全くできない,狂気のような日々だった。

もう一つ,異星人との交流をテーマにしたのが,「関節話法」。儀礼的な会話を,関節を鳴らして行うマザング星人の言語は「間接話法」ならぬ,「関節話法」だ。外交関係を結ぶために大使として任命された男の苦闘を描く。体中の関節をポキポキ鳴らさないといけないが地球人には難しい。関節が悪くなって言語障害

急流」:時間の流れが加速度的に早くなり,21世紀には行きつかない。意味不明!

以下,気持ち悪くて下品なものばかり。

蟹甲癬」:外惑星植民地でクレール蟹の甲羅の味噌を食べると,頬の皮膚が甲羅状に変形する皮膚疾患。蟹の甲羅の様な見かけで,蟹味噌まで入ってる。 そんなもの喰うな!

こぶ天才」:地球上の昆虫とはだいぶ違う,大きさ三十センチの甲殻類を,十歳以下の子供の背中に寄生させると頭がよくなるという。 親のエゴ丸出し!

顔面崩壊」:シャラク星でドド豆を煮るのに失敗すると悲惨。 圧力鍋が怖くなった!

問題外科」:説明したくないほどひどい!

ポルノ惑星のサルモネラ人間」:カブキ恒星系のナカムラ星に派遣された調査団の研究者たち。ダジャレのように命名されたいやらしい名前の動植物。生態学や進化論の学問的議論をはさみながら……  下品すぎて説明できません!