壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

東京奇譚集 村上春樹

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東京奇譚集 村上春樹
新潮社 2005年 1400円

二年たって文庫本が出た頃にハードカバーを古本屋で買い、読み始めるのが億劫でさらに二年寝かせていた本です。ニュースで思い出しなんとなく読み始めると、あまりに読みやすい文章に拍子抜けするくらいで、2―3時間でつるつると最後まで一気に読んでしまいました。こんなに面白かったかな。

5つの短編。エッセーか実話かという雰囲気で始まり、次第に不思議感が強まっていき、最後は古めかしい怪異譚のようでした。人や物やいろんなものを失くす話なのに、どれも救いのある終わり方で気持ちよく読み終わりました。

「偶然の旅人」  ピアノ調律師が出会った女と、音信不通だった姉との再会
「ハナレイ・ベイ」 サーファーだった息子を失くした女と、二人の若いサーファーとの出会い
「どこであれそれが見つかりそうな場所で」マンションの階段で夫が失踪した女と、探偵のような男
「日々移動する腎臓のかたちをした石」小説家の男と、謎めいた女との別れ
品川猿」自分の名前を忘れる女と、名前を盗む猿

村上作品は「ノルウエーの森」辺りまで読みました。もし10代の終わり頃に読んでいたら、(私は作者と同じような年代ですので無理ですが、)ハルキストになっていたかもしれない(笑)。未読作品が本棚にかなりあるので、そのうちぼちぼちと・・。