壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

あのころはフリードリヒがいた ハンス・ペーター・リヒター

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あのころはフリードリヒがいた ハンス・ペーター・リヒター
上田 真而子訳 岩波少年文庫 1977年 570円

グラスを読みながら、この本を思い出して物置から出してきました。つい、読み始めてしまいました。

「ぼく」とフリードリヒは、同じアパートに住んでいて、生まれたのもほぼ同じころで、小学校にも一緒に入学した。フリードリヒの父親は郵便局員で、「ぼく」の父親は失業中だった。家族ぐるみでのつきあいだったけれど、戦争が始まってユダヤ人迫害がいっそうひどくなり、フリードリヒの父親は失業し、「ぼく」の父親は入党した。大人たちの関係はぎくしゃくしたけれど、「ぼく」とフリードリヒの友情は続いた。水晶の夜のころ、ひどいことが起きた。・・・・・・そしてひどい空襲があった夜・・・・・・・

フリードリヒを助けられなかった「ぼく」。最後があまりにも唐突に終わっているのですが、言葉では言い表せないほどの「ぼく」の思いが、強く伝わってくる名作です。

ネットで著者について調べていたら、なんと、これには続編があることをうかつにも知りませんでした。「ぼくたちもそこにいた」「若い兵士のとき」の三部作で、ハンス・ペーター・リヒターは1925年生まれで、やはり17歳の時に志願して入隊したとか。明日(もう今日ですが)図書館に行きましょう。