壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧

グラーグ57(上・下)   トム・ロブ・スミス

グラーグ57(上・下) トム・ロブ・スミス 田口俊樹訳 新潮文庫 2009年 各700円 前作『チャイルド44』はもちろん面白かったけれど、陰惨な事件に気が滅入ってしまい、読んでいて辛かった。今度はそんなことにならないように注意しながら読み始めました。その…

妻という名の魔女たち フリッツ・ライバー

妻という名の魔女たち フリッツ・ライバー 大瀧啓裕訳 創元推理文庫 2003年 760円 図書館の新着コーナーから『跳躍者の時空』を借りてきましたが、フリッツ・ライバーは全く初めてなので、短編集から読むよりは長編から読みたいと、1940年代に書かれた初期の…

ボート   ナム・リー

ボート ナム・リー 小川高義訳 新潮クレストブックス 2010年 2300円 その土地、その時代を鮮やかに切り取った七編の物語。抑制の効いた硬い語りが、切り取られた風景の解像度を驚くばかりに高めています。生後三ヶ月でボートピープルとしてオーストラリアに…

おさがしの本は 門井慶喜

おさがしの本は 門井慶喜 光文社 2009年 1600円 図書館ミステリだということで読みたいと思ったのに忘れていて、どういうわけか突然思い出して図書館で借りてきました。人気の本らしいですが、すでに図書館の予約待ちは途切れていました。全市内で蔵書の複本…

農場の少年 ローラ・インガルス・ワイルダー

農場の少年 ローラ・インガルス・ワイルダー こだまともこ/渡辺南都子訳 講談社青い鳥文庫 1985年 500円 インガルス一家の物語のうちで最も好きなのがこの本、マイ・オールタイムベストです。後にローラの夫になったアルマンゾの少年時代が、「子供時代の幸…

闇の奥 ジョゼフ・コンラッド

闇の奥 ジョゼフ・コンラッド 黒原敏行 光文社古典新訳文庫 2009年 590円 『闇の奥』をまだ読んだことがないのはいかがなものかと(笑)、岩波文庫を寝かしてあるのですが、いかんせん老眼には目の毒というばかりに字が小さくて読了に至りません。新訳を見か…

ぽろんぽろん まどみちおさんの詩をうたう

ぽろんぽろん まどみちおさんの詩をうたう CDブック詩集 クニ河内(音楽) クレヨンハウス 2009年 まどみちおさんの百歳の誕生日記念だそうです。まどさんの詩もクニさんの音楽も、のどかでのほほんとした雰囲気にたいそう癒されます。 寒いけれど、ガラス越…

死神を葬れ ジョシュ・バゼル

死神を葬れ ジョシュ・バゼル 池田真紀子役 新潮文庫 2009年 820円 「病院勤務は悪夢だ」挨拶がわりに僕らはこう言う。研修医の地獄のシフトじゃ睡眠時間は当然不足、疲労は無限。クスリでもキメなきゃやってられない。しかもその日の入院患者が最悪。マフィ…

パラドックス13 東野圭吾

パラドックス13 東野圭吾 毎日新聞社 2009年 1700円 SF設定の人間ドラマは、東野作品の中で好きなジャンルです。 P-13現象(論理数学的に予測不可能な現象なんだそうですが要するに時間がジャンプするらしい。こういう設定はどうでもよろしいというくらいお…

転移 中島梓

転移 中島梓朝日新聞出版 2009年 1800円 昨年5月末に他界された中島梓さんの絶筆。「『ガン病棟のピーターラビット』の続編に当たり、すい臓がんが肝臓に転移した以降の2008年9月から亡くなる直前の5月半ばまでの日記形式のエッセイです。病状が進んでかなり…

日本の帰化植物図譜

日本の帰化植物図譜 日本植物画倶楽部(植物画制作) 大場秀章(監修・解説) アボック社 2009年 9800円 図鑑が好きで、ボタニカルアートも好きなので、こういう本は見逃せません。図書館で借りてきました。ページをめくると、道端で見慣れたオオイヌノフグリ…

メイプル・ストリートの家 スティーヴン・キング

メイプル・ストリートの家 スティーヴン・キング 永井淳 他訳 文春文庫 2006年 590円 「ナイトメアズ&ドリームスケープス」の二巻の短編集を文庫本四分冊に編成しなおしたものだそうですが、幸いなことにどれも未読でした。キングを一概に「ホラー」として…

白い城 オルハン・パムク

白い城 オルハン・パムク 宮下遼/宮下志朗訳 藤原書店 2009年 2200円 『イスタンブール 思い出とこの町』ではいまひとつピンとこなかったイスタンブールが、この本で明確にイメージできたような気がします。とても巧くて面白い作品でした。ヴェネツィア人と…

ロスチャイルドのバイオリン アントン・P・チェーホフ

ロスチャイルドのバイオリン アントン・P・チェーホフ イリーナ・ザトゥロフスカヤ絵 児島宏子訳 未知谷 2005年 2100円 図書館の新着コーナーで見つけた本。墨絵のようなイラストが面白くて手にとりましたが、この出版社から出ているチェーホフ・コレクショ…

青い野を歩く クレア・キーガン

青い野を歩く クレア・キーガン 岩本正恵訳 白水社イクスリブリス 2009年 2200円 アイルランド女性作家の短編集。「イクス・リブリス」シリーズの『イエメンで鮭釣りを』が面白かったので、このシリーズでいくつか海外文学を追いかけましょう。 アイルランド…