壊れかけたメモリーの外部記憶

70代の読書記録です。あとどれくらい本が読めるんだろう…

プラチナデータ 東野圭吾

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読み始めは、犯罪捜査におけるDNAデータベースのコールド・ヒットと冤罪問題のような社会派ミステリかと思っていたのですが、SFタッチの軽いミステリで一気読みしてしまいました。

 

DNAという究極の個人情報を国が管理し、犯罪防止に役立てようというDNA法案が国会で可決成立した。DNA情報によるプロファイリングで容疑者のモンタージュ写真まで出来るし、容疑者本人のDNAが登録されていなくても、血縁関係を探れば本人にたどり着けるという設定だ。ところが、ある連続殺人事件で犯人が残したDNAはデータベースに全く引っかかってこない。DNA検索システムの開発者である天才数学者が殺され、現場に残された毛髪のDNAは警察庁特殊解析研究所の神楽(DNAプロファイリングの専門家)のものと適合した。神楽はある問題を抱えていて、自分自身ですら犯人ではないと断言できない。いつの間にか追われる身になった神楽を、刑事浅間が追う。

 

伏線もわかりやすく、結末もなんとなく想像がつくのだけれど、でも話の運びがうまくて楽しめました。特捜検事の証拠捏造という最近の事件、驕りと傲慢は権力者の中に簡単に巣食うものなんだなあと、本書を読んで改めて思いました。