十二国記 第四作です。慶国の玉座に付いた陽子は、王としてなすべきは何かということに悩み戸惑い、王宮を出て身分を隠して里で生活を始めました。海客として蓬莱から流れ着いた鈴は、才国の飛仙に仕えていましたが、「私だけが不幸なの」と惨めな自分の境遇を嘆くばかりの毎日でした。祥瓊は芳国の公主でしたが、謀反によって両親を殺され、里家での貧しい暮らしに耐えられず、「世が世であれば」と我が身の不運を嘆いていました。
陽子、鈴、祥瓊という同じ年頃の少女三人の運命をたどりながら、少女が出会いや経験によってそれぞれに成長していく姿が描かれます。三人の物語は慶国和州での圧政に耐えかねた人々の反乱の場面で収束し、それぞれに自分の果たすべき役割を認識していくのです。
第四作目まで読んできますと、この十二国世界のシステムに対する目新しさはなくなりましたが、物語構成、少女たちの人物像ともに素晴らしく、読み応えのある作品に感動しました。